青眼(読み)せいがん

精選版 日本国語大辞典 「青眼」の意味・読み・例文・類語

せい‐がん【青眼】

〘名〙
① 自分の好む人を迎える時の、うれしい心のあらわれた目もと。青顧。⇔白眼
菅家文草(900頃)五・夏日餞渤海大使帰「送迎毎度長青眼、離会中間共白鬚」
※和漢朗詠(1018頃)下「昔年我を顧みるに長く青眼なりき 今日君に逢へば已に白頭なり〈許渾〉」 〔晉書阮籍伝〕
落語・つよがり(1890)〈三代目三遊亭円遊〉「予(わし)がコー片手青眼に附けるとネ、予の身躰が些(ちっ)とも見えまい」
③ 緑の木の芽。柳の芽。柳眼
※菅家文草(900頃)六・早春内宴、侍清凉殿同賦春先梅柳知「素心易表風前蘂、青眼難眠雨後枝」

あおき【青】 眼(まなこ)

(「晉書‐阮籍伝」の、阮籍(げんせき)が、気に入らない客は白眼で見、気に入った客は青眼で迎えたという故事の「青眼(せいがん)」の訓読) 気に入った客を喜んで迎える、すずしい気持のよい目つき。
徒然草(1331頃)一七〇「阮籍が青き眼、誰もあるべきことなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「青眼」の意味・読み・例文・類語

せい‐がん【青眼】

《晋の阮籍げんせきが、好感のもてる人は青眼で迎え、嫌な人は白眼で迎えたという「晋書」阮籍伝の故事から》親しい人が訪れたとき、喜んで迎える目つき。⇔白眼
正眼せいがん2」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「青眼」の解説

青眼

好きな人を迎えるときの、うれしさにあふれた目つきのこと。

[使用例] しかしおちゃらはこのにやけ男を、青眼をもって視るだろうか。た白眼を以て視るだろうか[森鷗外青年|1910~11]

[由来] 「晋書げんせき伝」に見える話から。三世紀、三国時代の中国の文人、阮籍は、青い目と白い目を使い分けることができ、俗っぽい人物と会うときには白い目を使っていたそうです。けいという人物が訪ねてきたときには、白い目で出迎えたので、嵆喜は気を悪くしました。彼の弟のけいこうがそのことを聞き、お酒と琴を持って阮籍に会いに行ったところ、阮籍は「大いに悦びてすなわち青眼をあらわす(とてもよろこんで、青い目を見せた)」のでした。

[解説] この話からは、「白眼視という故事成語も生まれています。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

普及版 字通 「青眼」の読み・字形・画数・意味

【青眼】せいがん

親愛の情で見る。〔晋書、阮籍伝〕能く白眼を爲す。禮俗の士を見ては、白眼を以て之れに對す。~(康)乃ち酒を齎(もたら)し琴を挾(さしはさ)みて(いた)る。大いにび、眼に見る。是れに由りて禮法の士、之れを疾(にく)むこと讐(かたき)の(ごと)し。

字通「青」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android