青苗法(読み)セイビョウホウ(その他表記)Qīng miáo fǎ

デジタル大辞泉 「青苗法」の意味・読み・例文・類語

せいびょう‐ほう〔セイベウハフ〕【青苗法】

中国北宋王安石のたてた新法の一。植え付け前に農民に金や穀物低利貸し、収穫時に元利を返させる法。民間高利を禁じ、政府収入増加を図ったもの。

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精選版 日本国語大辞典 「青苗法」の意味・読み・例文・類語

せいびょう‐ほうセイベウハフ【青苗法】

  1. 〘 名詞 〙 中国、北宋の王安石のたてた新法の一つ。植付前に農民に銭・穀を貸し付け、収穫時に低利で償還させた。大地主高利貸による農民の没落を防止し、政府の歳入増加を計る策。青苗
    1. [初出の実例]「青苗法は初小県に行た時はよかったぞ」(出典:百丈清規抄(1462)四)
    2. [その他の文献]〔宋史‐王安石伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「青苗法」の意味・わかりやすい解説

青苗法 (せいびょうほう)
Qīng miáo fǎ

中国,北宋の王安石の新法の一つ。低利による農民への穀物貸付策。1069年(熙寧2)9月より実施。滞積していた州県の非常用穀物の円滑な運用,地主の高利貸付けに悩む農民救済を組み合わせ正月と5月(旧暦)に2~3割の低利で政府が穀物を貸し付け,収穫期に返させる。戸等別による強制貸付け,豪民の利益侵害など多くの問題が出て,保守派猛反対をよぶが,王安石は一歩もひかず,18年間の新法時代を通じ相当の成果をあげた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青苗法」の意味・わかりやすい解説

青苗法
せいびょうほう

中国、北宋(ほくそう)の政治家王安石(1021―86)の新法の一つ。北宋政府は常平倉、広恵倉に穀物を蓄え、災害や飢饉(ききん)に備えていたが、管理の不備から滞貨が多かった。王安石はこれを放出して現金化し、端境期に食糧や種もみの不足しがちな小農民に前貸しし、年利息2割で、穀物または現金で返済させた。従来10割の高利で前貸しを行っていた地主層はこれに猛反対したが、王安石は新法全体の成否をかけて推進し、相当の純益をあげて財政再建に寄与した。

[島居一康]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青苗法」の意味・わかりやすい解説

青苗法
せいびょうほう
Qing-miao-fa; Ch`ing-miao-fa

中国,宋代の農民への低利資金貸付け法。王安石の新法の一つ。煕寧2 (1069) 年施行。これまで農民は植付け前に食糧や種籾に不足し,地主から6~7割,ときには 10割の高利で,資金を借りていた。青苗法は,農民をこの高利から解放するためのもので,常平倉から穀物または2割の低利で金銭を貸出した。正月の貸出しは夏,5月の貸出しは秋の収穫期に,金銭もしくは穀物で返済させた。新法中でも青苗法に対する地主側の反対は最も激しかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「青苗法」の解説

青苗法
せいびょうほう

宋代の王安石の新法の1つ
春,穀物の苗がまだ青いころ,政府が低利の資金を農民に貸し,秋の収穫が終わったとき,利息(最高2割まで)をつけて返済させた小農保護のための低金利政策。これに対する反対は新法反対のうちでも最も激しく,新法党・旧法党の抗争が激化した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「青苗法」の解説

青苗法(せいびょうほう)

北宋の王安石の新法の主要な政策。農民に常平倉(じょうへいそう)から銭,穀物を貸し付け,返済期に低利で償還させ,軍粮に資するもので,大地主の高利貸による農民の没落を防いだ。

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世界大百科事典(旧版)内の青苗法の言及

【常平倉】より

…真宗(998‐1022)のときには全国各州県に置かれたが,軍糧へ流用されることが多かった。王安石の新法の一つ青苗法は,常平倉に蓄えられている銭米を資本として農民に低利の貸付けを行ったもの。明・清まで存続したが不正流用されて本来の意味はうすれ,農民救済は義倉や社倉に移った。…

※「青苗法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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