面積速度(読み)メンセキソクド(その他表記)areal velocity

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「面積速度」の意味・わかりやすい解説

面積速度
めんせきそくど
areal velocity

動点 P が定点 O のまわりを周回運動するとき,動径 がつくる面積 S の時間変化dS/dt をいう。扇形速度ともいう。平面運動の場合には,点 O を原点として動点 P の極座標を (r,θ) とすれば,面積速度は次式で与えられる。
惑星が太陽に向う万有引力を受けて楕円軌道を運動するとき,太陽のまわりの面積速度は一定である (→ケプラーの法則 ) 。一般に,面積速度はベクトルであって,原点 O に関する動点の位置ベクトルr ,速度を v とするとき,面積速度は次式で与えられる。
ここで,m は動点の質量lr×mv で,原点に関する角運動量である。動点が原点 O を通る任意の中心力を受けて運動するとき,その面積速度 dS/dt は時間 t に関係なく一定であり,これを面積速度の保存則という。この保存則は角運動量 l の保存則と同じ意味をもつ。

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改訂新版 世界大百科事典 「面積速度」の意味・わかりやすい解説

面積速度 (めんせきそくど)
areal velocity

1定点Oと物体(正しくは質点)Pとを結ぶ線分が,Pの運動によって空間に描く扇形の面積をSとし,微小時間dtの間にSdSだけ増したとするとき,比dS/dtのことをいう。ケプラーは,太陽のまわりの惑星の運動ではこれが一定であることを発見した(ケプラーの法則)。Pの運動がOから受ける中心力による場合には,Oに関する角運動量は一定になるが,Pの質量をmとすると面積速度の2m倍は角運動量の大きさに等しいので,面積速度も一定になる。
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百科事典マイペディア 「面積速度」の意味・わかりやすい解説

面積速度【めんせきそくど】

質点が運動しているとき,一定点から質点へ引いた線分(動径)が微小時間dtの間に面積がdS変化したとするときの変化の速さdS/dt。一つの質点が中心力(力の方向が常に一定点に向かい,力の大きさがその点からの距離だけできまる力)を受けて運動するときは,その中心点に関する面積速度は一定である(面積原理)→ケプラーの法則

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