物体(厳密には、質点、質量をもつが、広がりをもたないかまたは無視しうる)に働く力の一種で、その強さが力の中心から物体までの距離だけで決まり、その方向が力の中心と物体を結ぶ直線に沿っているものをいう。孤立した二つの質点の運動は、一般にそれらの重心運動と相対運動に分けられ、前者は力の作用のない自由運動であり、静止しているかまたは等速直線運動を行う。後者は、質点間に働く力のもとでの一粒子運動と等価である。力の中心は、相対距離がゼロの場合に対応している。中心力の特徴は、その作用のもとで運動する質点がその角運動量、すなわち力の中心からの位置座標rと運動量pのベクトル積r×pを保存することである。惑星の運動に関するケプラーの第二法則、面積速度一定の法則は、この角運動量の保存から導かれる。さらにベクトルとして角運動量を保存することから、その運動は平面上に限られる。惑星の運動はこの例で、中心力としての万有引力のもとで、惑星に比べ非常に重い太陽を近似的に力の中心としている。中心力の例としては、ほかに荷電粒子間、たとえば電子や陽子間に働くクーロン力などがある。非中心力の例としては、核子(中性子および陽子)間に中間子を媒介として働く核力が知られている。
[阿部恭久]
質点に働く力がつねにその質点と別の一定点Oを結ぶ直線の方向に働き,その大きさと向きがOと質点との間の距離rだけできまるとき,この力を中心力,Oを力の中心という。太陽や惑星の大きさを無視して質点と考え,太陽を不動とすれば,惑星が太陽から受ける万有引力は中心力である。中心力による運動では面積速度が一定に保たれるが,これは角運動量が保存されることを意味している。
執筆者:小出 昭一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新