中心力(読み)チュウシンリョク

デジタル大辞泉 「中心力」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐りょく【中心力】

物体に働く力の作用線が、ある一定点を常に通るような力。太陽惑星間の万有引力荷電粒子間のクーロン力など。

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精選版 日本国語大辞典 「中心力」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐りょく【中心力】

  1. 〘 名詞 〙 物体に働く力が常に一定点を通り、しかもその大きさはその点からの距離だけで決まるような力。等速円運動をする場合に働く向心力や、ニュートンの万有引力・クーロン電磁気力など。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中心力」の意味・わかりやすい解説

中心力
ちゅうしんりょく

物体(厳密には、質点質量をもつが、広がりをもたないかまたは無視しうる)に働く力の一種で、その強さが力の中心から物体までの距離だけで決まり、その方向が力の中心と物体を結ぶ直線に沿っているものをいう。孤立した二つの質点の運動は、一般にそれらの重心運動相対運動に分けられ、前者は力の作用のない自由運動であり、静止しているかまたは等速直線運動を行う。後者は、質点間に働く力のもとでの一粒子運動と等価である。力の中心は、相対距離がゼロの場合に対応している。中心力の特徴は、その作用のもとで運動する質点がその角運動量、すなわち力の中心からの位置座標rと運動量pのベクトル積r×pを保存することである。惑星の運動に関するケプラーの第二法則面積速度一定の法則は、この角運動量の保存から導かれる。さらにベクトルとして角運動量を保存することから、その運動は平面上に限られる。惑星の運動はこの例で、中心力としての万有引力のもとで、惑星に比べ非常に重い太陽を近似的に力の中心としている。中心力の例としては、ほかに荷電粒子間、たとえば電子や陽子間に働くクーロン力などがある。非中心力の例としては、核子中性子および陽子)間に中間子を媒介として働く核力が知られている。

[阿部恭久]

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改訂新版 世界大百科事典 「中心力」の意味・わかりやすい解説

中心力 (ちゅうしんりょく)
central force

質点に働く力がつねにその質点と別の一定点Oを結ぶ直線の方向に働き,その大きさと向きがOと質点との間の距離rだけできまるとき,この力を中心力,Oを力の中心という。太陽や惑星の大きさを無視して質点と考え,太陽を不動とすれば,惑星が太陽から受ける万有引力は中心力である。中心力による運動では面積速度が一定に保たれるが,これは角運動量が保存されることを意味している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中心力」の意味・わかりやすい解説

中心力
ちゅうしんりょく
central force

質点に働く力の作用線が常に定点Oを通るとき,この力を中心力といい,点Oを力の中心という。例としては万有引力やクーロン力がある。中心力を受けている質点は定まった平面上を運動し,力の中心に関する角運動量は変らない。

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