四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「頸動脈超音波検査」の解説
頸動脈超音波検査
総頸動脈、内頸動脈、外頸動脈の状態を、超音波を使って調べる検査です。安全で苦痛のない検査なので、誰でも安心して受けることが可能です。
動脈硬化の指標としての検査
人の体で、外から血管を直接観察できるところは、眼底の血管だけで、従来から動脈硬化の判定には眼底動脈を調べていました。最近、超音波検査で血管の動脈硬化の程度を判定するようになり、
総頸動脈は、前頸部の左右両側にあって、内頸動脈と外頸動脈に分かれていき、頭へ血液を送る重要な血管です。頸動脈超音波検査では、総頸動脈と内頸動脈、外頸動脈の状態を検査します。
動脈硬化で動脈壁が厚くなる
血管壁は、3つの層(内膜、中膜、外膜)からなっていて、動脈硬化になると、内膜(血管の内側の膜)と中膜(血管の内側と外側の間にある膜)が厚くなり、超音波検査では壁肥厚像として写ります。
また、動脈硬化になると、血管の内腔が狭くなり、内腔の一部が血管の内側に盛り上がったプラークをつくります。プラークを認める場合は、統計的データでは脳梗塞や狭心症、急性心筋梗塞を合併する割合が高くなっています。
無症候性脳梗塞で異常に
最近、脳ドックで脳のCT検査が行われるようになり、
脂質異常症や糖尿病などでは動脈硬化を伴うことが多いため、しばしば頸動脈超音波検査を行います。血管壁の肥厚像や狭小化とプラークの存在が、検査所見として認められます。
検査は20~30分で終了
頸部がよく観察できるように、上着やワイシャツなどは脱いで検査をします。
頸にゼリーを塗り、探触子(プローブ)をあて、そこから出る超音波の反射波を映像化します。左頸動脈の検査のときは少し右を向き、右頸動脈の検査のときは左に傾けます。
20~30分で検査は終了し、痛みはまったくありません。
だれでも安心して受けられる
検査当日の飲食は、普通にとってかまいません。検査前後の注意もとくになく、まったく安全で苦痛のない検査ですので、だれでも安心して受けることができます。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆糖尿病→糖負荷試験、眼底検査、腹部超音波、サーモグラフィなど
医師が使う一般用語
「頸動脈エコー」=「エコー」は反射波のこと。その他、「頸動脈ユーエス」=「ユーエス」はultra sonography(超音波検査) の略USから
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報