飛鳥京跡苑池(読み)あすかきょうあとえんち

共同通信ニュース用語解説 「飛鳥京跡苑池」の解説

飛鳥京跡苑池えんち

飛鳥時代宮殿跡の北、飛鳥川の東に隣接する広大な庭園跡。大規模土木工事を数多く行った女帝斉明天皇の時代に築かれ、息子の天武天皇が改修し、儀式や供宴の場として利用したとみられる。全体の規模は南北約280メートル、東西約100メートル。南池には噴水のような石造物や水上舞台のような施設、北池には階段状護岸などが確認されている。宮殿に庭園が付属する形式は中国や朝鮮半島の影響が見られる一方、池の形や石造物などは日本独自の設計によるものと考えられている。

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国指定史跡ガイド 「飛鳥京跡苑池」の解説

あすかきょうあとえんち【飛鳥京跡苑池】


奈良県高市郡明日香村村岡にある苑池遺構。飛鳥川右岸の河岸段丘上に立地し、国の史跡である伝飛鳥板蓋宮跡の西北に接する。1916年(大正5)、この付近から「出水の酒船石」と呼ばれる石造物が2基出土しており、1999年(平成11)からその出土地点付近から北方にかけて発掘調査を実施した結果、幅約5mの陸橋状の渡堤をはさみ、周囲に石積みの護岸をめぐらせた南北2つの池と北に延びる排水路からなる飛鳥時代の苑池遺構が検出された。この2つの池は、それぞれ形態や構造、意匠を異にしている。南池が少なくとも3つの石造物を有し、断面が皿状になる石貼りの浅い池で、中島や島状の石積みをもつなど観賞用という色彩が強いのに対して、北池は底が深く、底面も平らであるなど実用的な性格が強いものとなっている。とくに南池は庭園全体がわかる最古のもので、位置的にみても、すぐ東側にあった歴代の宮殿と密接に結びついた施設であると考えられている。この苑池は飛鳥時代の政治や文化、わが国における庭園の変遷を知るうえで重要であるとされ、2003年(平成15)に国の史跡および名勝に指定された。近畿日本鉄道橿原線ほか橿原神宮前駅からコミュニティバス「岡天理教前」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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