詩人、評論家。静岡県生まれ。父は歌人大岡博(1907―1981)。東京大学国文科卒業。少年期から詩や短歌に親しんだ。東大在学中に日野啓三、佐野洋らと『現代文学』を創刊。卒業後は同人誌『櫂(かい)』に参加し、また『シュルレアリスム研究会』をつくる。読売新聞記者生活10年、その間、第一詩集『記憶と現在』(1956)で清新な知性と感性の躍動をみせ、以後旺盛(おうせい)な詩作と評論活動を展開、もっとも代表的な現代詩人の一人に数えられる。詩集に、『透視図法――夏のための』(1972)、『水府 みえないまち』(1981)、『草府にて』(1984)、『ぬばたまの夜、天の掃除器せまってくる』(1987)、『故郷の水へのメッセージ』(1989。現代詩花椿(はなつばき)賞)、『世紀の変り目にしやがみこんで』(2001)ほか。選詩集に現代詩文庫『大岡信詩集』『続・大岡信詩集』『続続・大岡信詩集』。評論集に、『超現実と抒情(じょじょう)』(1965)、『蕩児(とうじ)の家系』(1969。藤村記念歴程賞)、『紀貫之(きのつらゆき)』(1971。読売文学賞)、『詩人・菅原道真(すがわらのみちざね)』(1989。芸術選奨文部大臣賞)など。1979年(昭和54)1月より『朝日新聞』に「日本詩歌の常識」づくりを意図してコラム「折々のうた」を連載、好評を得る。単行本化された『折々のうた』(1980)は菊池寛賞を受賞した。連詩の試みや海外の詩人との活発な交流など幅広い活動でも知られている。日本芸術院会員。1994年(平成6)芸術院恩賜賞。1997年文化功労者、2003年文化勲章受章。2004年6月、フランスのレジオン・ドヌール勲章オフィシエ章を受章。長男の大岡玲(あきら)(1958― )は芥川(あくたがわ)賞作家。
[吉田文憲]
『『現代詩文庫24 大岡信詩集』(1970・思潮社)』▽『『現代詩文庫131 続・大岡信詩集』(1995・思潮社)』▽『『現代詩文庫153 続続・大岡信詩集』(1998・思潮社)』▽『『蕩児の家系――日本現代詩の歩み』新装版(1975・思潮社)』▽『『大岡信著作集』全15巻(1977~1978・青土社)』▽『『詩集 透視図法――夏のための』(1977・書肆山田)』▽『『大岡信詩集 水府 みえないまち』(1981・思潮社)』▽『『大岡信詩集 草府にて』(1984・思潮社)』▽『『ぬばたまの夜、天の掃除器せまってくる』(1987・岩波書店)』▽『『詩集 故郷の水へのメッセージ』(1989・花神社)』▽『『詩人・菅原道真――うつしの美学』(1989・岩波書店)』▽『『折々のうた』1~10・総索引(1992・岩波書店)』▽『『世紀の変り目にしやがみこんで』(2001・岩波書店)』▽『『紀貫之』(ちくま文庫)』▽『『萩原朔太郎』(ちくま学芸文庫)』▽『『現代詩人論』(講談社文芸文庫)』▽『『「忙中閑」を生きる』(角川文庫)』▽『大岡信・谷川俊太郎著『対談 現代詩入門』(中公文庫)』▽『思潮社編・刊『現代詩読本 大岡信』(1992)』
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