饅（読み）マン

デジタル大辞泉

まん【^×饅】

饅頭まんじゅうをいう女房詞。

ぬた【^×饅】

野菜・魚・貝などを酢味噌であえたもの。ぬたあえ。ぬたなます。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ぬた【饅】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 料理の一種。細かく切った魚肉、野菜などを酢味噌であえたもの。ぬたあえ。ぬたなます。
   1. [初出の実例]「此度はぬたに取あへよもみち鮒〈貞利〉」(出典：俳諧・崑山集（1651）一一秋)
3. ② ①に用いる酢味噌などをいう。〔日葡辞書（1603‐04）〕

まん【饅】

1. 〘 名詞 〙 饅頭をいう。〔大上臈御名之事（１６Ｃ前か）〕

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

饅
20画

(異体字)
22画

[字音] マン
[字訓] まんじゅう

[字形] 形声
声符は曼(まん)。曼にふっくらしたもの、まるみのあるもの、ゆたかなさまの意がある。饅頭はまた曼頭ともいう。晋の束に「餠の賦」があり、その中に曼頭を加えている。諸亮が、犠牲に代えるお供え用として作ったという伝説がある。〔字鏡集〕にまた、米に従う字があるが、訓を加えていない。

[訓義]
1. まんじゅう。
2. 字はまたに作る。

[熟語]
饅頭▶

出典　平凡社「普及版 字通」

改訂新版　世界大百科事典

饅 (ぬた)

あえ物の一種。マグロ，イカ，ハマグリ，アサリなどの魚貝類にネギ，ワケギ，ニラ，ワカメなどを配し，酢みそなどであえたもの。魚は適宜に切り，貝類やネギはさっと湯に通しておくとよい。江戸時代には〈ぬたなます〉〈ぬたあえ〉と呼び，《料理網目調味抄》（1730）は〈饅膾（ぬたなます）は酒の糟（かす），酢，芥子（からし）を以てあゆるを云也〉といっている。また，より古く室町末期ごろの成立とされる《大草家料理書》には〈のたあへ鱠（なます）〉という料理があり，それは酒かすにダイズ粉などを合わせ，酢を加えてすりのばしたもので魚をあえるとしている。〈のた〉〈ぬた〉はともに酒かすに酢を加えることを基本としており，そのどろどろの状態が〈ぬた〉〈のた〉と発音される沼田の泥に似ているための名と考えられる。
執筆者：鈴木 晋一

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

和・洋・中・エスニック　世界の料理がわかる辞典

ぬた【饅】

酢みそ和え。◇「ぬた和え」「ぬたなます」ということもある。⇒酢みそ和え

出典　講談社

世界大百科事典（旧版）内の饅の言及

【なます(膾)】より

…室町期になると，山吹なます，卯の花（うのはな）なます，雪なます，笹吹（ささぶき）なます，その他多くの種類が登場する。山吹なますはカレイの肉にその卵をいってまぶしたもの，卯の花なますはぬた(酒かすにからしを加えたもの)であえたもの，雪なますは魚の上におろしダイコンを盛ったもの，笹吹なますはダイコンの笹がきを加えたもので，いずれもふつうは酢をかけて供した。刺身がなますから分化するのは室町中期ごろのことで，細切りのものを合せ酢であえた物をなます，なますよりも大きく切り，タデ酢，ショウガ酢，煎酒（いりざけ）などの調味料を別器で添えるのを刺身と呼ぶようになった。…

※「饅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」