香港民主化運動(読み)ほんこんみんしゅかうんどう

百科事典マイペディアの解説

香港民主化運動【ほんこんみんしゅかうんどう】

香港で2014年9月から12月まで学生たちが行った中国政府への抗議運動。欧米メディアは,この活動を〈雨傘革命〉と呼んでいる。中国政府の一国二制度政策の下で,高度な自治が認められている香港では,2017年香港特別行政区行政長官選挙から1人1票の〈普通選挙〉が導入される予定であった。しかし,2014年8月中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は,行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり,候補は2〜3人に限定すると決定した。香港民主化団体の学民思潮などの学生団体は,指名委員会の多数が親中派で占められるため中央政府の意に沿わない人物の立候補を事実上排除する方針として強く反発,学生を動員して授業のボイコットを開始した。この背景には,2011年,香港政府が,義務教育に中国中央政府に対する愛国心育成のための愛国教育カリキュラムを導入しようとしたことに対して,学生たちが反対した運動が存在する。黄之鋒をリーダーとし,10代の学生が結集する学民思潮は大規模デモによる抗議行動によって,香港政府をカリキュラム撤回に追い込んだ。この経験を踏まえ,選挙に関する全人代の決定に対して香港の高校生と大学生を中心とした授業のボイコット及び〈真の普通選挙〉を求めるデモが香港中文大学内で起こり,学生たちの運動は平和な座り込みからはじまり香港中心街の占拠へと発展した。これに対して梁振英(りょうしんえい)香港行政長官は,政府ナンバー2の林鄭月娥(りんていげつが)政務官を窓口に学生団体と対話する姿勢をみせた。しかし,対話によって全人代の決定を覆す余地はなく,運動は一進一退を繰り返した。11月香港学生連盟事務局長の周永康ら3名が中国政府に直接要求を訴えるため北京に向かおうとしたが香港の空港で搭乗を拒否された。その間に香港政府は徐々に学生たちの拘束・逮捕を拡大する一方,占拠を排除するための偽装市民グループを街頭に送り込むなどの対策を講じ,長期化する中心街占拠に嫌気をさす世論を巧みに誘導した。香港政府は,12月民主化デモの最大拠点だった香港島中心部で,警官隊約7000人を投入してデモ隊のバリケードやテントなどを撤去,周永康ら約150人を逮捕,強制排除を完了させた。こうして2017年の行政長官選をめぐる一連の占拠活動は終息させられた。デモ隊の抵抗はなかった。12月15日,梁振英行政長官は11週間続いた民主化要求デモが終わったと宣言した。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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