馬蹄腎(読み)バテイジン(その他表記)horseshoe kidney

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改訂新版 世界大百科事典 「馬蹄腎」の意味・わかりやすい解説

馬蹄腎 (ばていじん)
horseshoe kidney

左右の腎臓がその下部融合している腎臓の奇形一種。正常では腎臓は左右の腰背部に別々に一対として存在するが,先天的な発生異常によって脊椎の前面で融合し,上に開いたコの字形をしている。この形が馬蹄鉄に似ていることから,馬蹄鉄腎あるいは馬蹄腎と呼ばれている。左右の腎臓が融合している奇形を融合腎と総称するが,本症はこのなかで最も頻度が高いものである。このほかに融合の様子によってL型腎,S型腎,菓子型腎などがある。症状腰部腹部疼痛で,身体をうしろに反らせると痛みが増強するのが特徴である(ロブジングの徴候)。腎臓の融合部で尿管がおさえられることが多いので,腎結石水腎症を合併することが少なくない。まったく無症状で偶然発見されることもあり,この場合は治療の必要はない。症状が強い場合は,手術によって融合部を切断し,左右の腎臓を正常な位置にもどす方法がとられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「馬蹄腎」の意味・わかりやすい解説

馬蹄腎
ばていじん
horseshoe kidney

左右の腎臓が下部で融合してしまい,馬蹄形をしている先天異常。腎臓の奇形では重複腎盂に次いで多く,500~2000人に1人の割という。種々の融合腎があるが,馬蹄形が最も多い。無症状のことも多いが,しばしば水腎症や結石,腎盂腎炎を合併する。慢性の腹部鈍痛,腰痛便秘下痢などの原因となることもある。これらの症状を伴うものを馬蹄腎症ともいう。

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