駆出・駈出(読み)かけだす

精選版 日本国語大辞典 「駆出・駈出」の意味・読み・例文・類語

かけ‐だ・す【駆出・駈出】

〘自サ五(四)〙
① 馬に乗って走り出す。人などが走る。また、走り始める。かけいだす。
※天草本平家(1592)四「ヘイケノ サムライノ ナカニ ワレト ヲモワウ トモガラワ caqedaxe(カケダセ)
※行人(1912‐13)〈夏目漱石塵労「既に走(カ)け出(ダ)した以上、何処迄行っても止まれない」
② 走って出る。かけいだす。
狂歌・大団(1703)五「へうたんからかけだす駒も尾はささんさんしょくたよな口でやつきやあ」
③ ある場所から逃げ出す。出奔する。
談義本・当世穴穿(1769‐71)二「親の物もありだけちゃくぶくして欠(カケ)出し」

かけ‐だし【駆出・駈出】

〘名〙
① 走り始めること。また、他の土地へ逃げること。出奔すること。かけいで。
人情本・閑情末摘花(1839‐41)五「また何も情合(わけ)のないものが駆出(カケダ)しも仕ますまいね」
② (もと山伏峰入り修行を終えて山から出ることを、「かけいで」また「かけで」といい、そういうときの山伏は、身に霊力がみなぎっていると考えられていたが、そのことが忘れられ、山から出たばかりということに重点がおかれるようになったところから) 物事をやり始めたばかりで慣れていないこと。初心、未熟であること。また、そのような人。
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)四幕「うぬらが様に駈出(カケダ)しのすり同様な小野郎とは又悪党の質(たち)が違ふ」

かけ‐いで【駆出・駈出】

〘名〙
※俳諧・犬子集(1633)一五「むさしあぶみをかけ出の駒 弁慶もけふを最後の軍(いくさ)ぶり〈一正〉」
狂言記蟹山伏(1700)「此度大峯かづらきの役をつとめ、只今かけいででござる」

かけ‐いだ・す【駆出・駈出】

〘自サ四〙 =かけだす(駆出)
曾我物語(南北朝頃)七「十郎、興さめておもひながら、駒かけいだし、おひつきけり」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二「直走に駿河台の方に向ひて馳出(カケイダ)せしが」

かけ‐い・ず ‥いづ【駆出・駈出】

〘自ダ下二〙 =かけでる(駆出)
大和(947‐957頃)御巫本附載「この車かけいでんとしければ、男思ひけるやう、わきてもあやなし」

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