初心(読み)しょしん

精選版 日本国語大辞典 「初心」の意味・読み・例文・類語

しょ‐しん【初心】

〘名〙
① 初めに思いたった心。最初決心初一念素志初志
※本朝文粋(1060頃)一三・為左大臣供養浄妙寺願文〈大江匡衡〉「自長保六年三月一日、結華構初心
※不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉中「之が為めに翻(かへ)って浪子は初心(ショシン)を破らじと窃かに心に帯せるなり」
② (「しょほっしん(初発心)」の略) 初めて悟りを求める心を起こすこと。仏道にはいったばかりのこと。また、その人。〔法華義疏(7C前)〕
正法眼蔵随聞記(1235‐38)一「或は初心未入(みにふ)の人意得(こころう)べからずとて」 〔僧護経〕
学問・芸能の道にはいったばかりであること。また、その人。学び初め。ういまなび。初学
無名抄(1211頃)「俊恵はこのころもただ初心のごとく哥を案じ侍り」
風姿花伝(1400‐02頃)一「この比の花こそ、しょ心と申す比なるを」
④ (形動) 世なれていないこと。また、そのさま。未熟。うぶ。やぼ。
※宗及茶湯日記(他会記)‐永祿一二年(1569)一月九日「此壺一段こびては不見候、又だうけたる心もなし、何ともなくよき壺なり、茶湯方に一入には不見候、初心なるこころはなし」
評判記難波物語(1655)「しゐてもとめて、座につらなれども、初心なれば、何の興もなくて」

うい‐ごころ うひ‥【初心】

〘名〙 世間ずれしていない、けがれのない心。うぶな気持
人情本・英対暖語(1838)二「へりに付たる紅絹の、㒵(かほ)にうつして赤らめながら、胸に浪打つ初心(ウヰゴコロ)

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デジタル大辞泉 「初心」の意味・読み・例文・類語

しょ‐しん【初心】

[名・形動]
最初に思い立ったときの純真な気持ち。初志。「初心を貫く」「初心に返る」
物事の習い始めであること。また、そのさま。初学。
はがき二句三句認めあるは…―なる人の必ずする事なり」〈子規・墨汁一滴〉
物事に慣れていないこと。世慣れていないこと。また、そのさま。うぶ。
「かれは自分の―なことを女に見破られまいとして」〈花袋田舎教師
仏教で、初めて悟りを求める心を発すること。また、その人。
[類語]初志

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普及版 字通 「初心」の読み・字形・画数・意味

【初心】しよしん

本意

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