高麗縁(読み)コウライベリ

デジタル大辞泉 「高麗縁」の意味・読み・例文・類語

こうらい‐べり〔カウライ‐〕【高縁/高端】

畳のへり一種白地の綾に雲形菊花などの紋を黒く織り出したもの。紋に大小があり、親王大臣などは大紋公卿小紋を用いた。のちには、白麻布に黒の小紋を染めたものをもいう。高麗。こうらいばし。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高麗縁」の意味・わかりやすい解説

高麗縁
こうらいべり

白地に黒の小紋(こもん)を染めた麻の畳縁。黒などの色の普通の縁に対して、格式のある場所に使われる。一般の住宅では床の間に、寺院では客殿、本堂などに使われている。古くは白綾(しろあや)に雲形、菊花などの紋を黒く織り出したものをいい、紋に大小があって、親王・大臣は大紋(だいもん)、大臣以下の公卿(くぎょう)は小紋、僧正以下の僧も同じというように、使う場所に制限があった(『海人藻芥(あまのもくず)』)。白麻布に黒の小紋を染めたものは略式である。

平井 聖]

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世界大百科事典(旧版)内の高麗縁の言及

【畳】より

…《延喜式》には朝廷で使われた畳の規格が書かれているが,長帖,短帖,狭帖など,長さ10mから1.2m,幅1.35mから1.08mの間でさまざまな形のものがあり,厚畳と,厚さがその半分の薄畳があった。畳縁(たたみべり)は糸目を布で覆ったが,その色と文様によって,各色を並べた繧繝縁(うんげんべり)は神仏と天皇,雲と菊の大紋を織りまたは染めだした大紋高麗(こうらい)縁は親王および大臣,小紋高麗縁は公卿,紫端は五位以上,黄端は六位といった格付けがなされ,そこに座る人の位階を示す役割を持っていた。この畳が行事のたびごとに板床の部屋に敷き並べられたのであるが,平安後期になると,通常人の席に当たる部分には常設的に畳が敷き置かれるようになり,身分の高い人の座はさらにその上に畳を重ねるようになった。…

※「高麗縁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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