① スズキ目ボラ科の海産魚。全長約八〇センチメートルに達する。体は丸みを帯びて細長く、頭の背面が平らで広い。背方は灰青色で腹方は銀白色。沿岸魚であるが河口にも出入し、幼魚は河川の中流域までさかのぼる。雑食で海底の有機物や藻類を泥とともに混食し、ゴカイなどの動物食もとる。世界各地の温帯・熱帯の沿岸に分布。養殖もされる。成長とともに呼称の変わる出世魚で、ごく小さい稚魚をオボコまたはスバシリ、淡水にはいってくるころをイナ、海に帰って成熟したものをボラ、きわめて大きい成魚をトドなどと呼ぶ。食用とし、特に冬季の「寒ボラ」が美味。胃は筋肉層が発達し、「ボラのへそ」「ソロバンダマ」と称し、塩焼きなどにする。卵巣は塩づけにして「からすみ」をつくる。日本近海には近縁の魚にメナダなど数種を産する。マボラ。《 季語・秋 》