鰓尾類(読み)サイビルイ(その他表記)fish louse

デジタル大辞泉 「鰓尾類」の意味・読み・例文・類語

さいび‐るい【×鰓尾類】

鰓尾目の甲殻類総称。魚に外部寄生して血液を吸収する。チョウなど約100種が知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「鰓尾類」の意味・わかりやすい解説

鰓尾類 (さいびるい)
fish louse

鰓尾亜綱鰓尾亜目Branchiuraの小型甲殻類の総称。チョウ科のみを含み,4属約150種が知られ,淡水魚に寄生するチョウ,海産魚のウミチョウなどがある。魚類,カエルなどの体表に一時寄生し,血液を吸う。体は透明で,扁平な円盤状の背甲が頭胸部を覆っている。口器の一部が変形した1対の吸盤の間には,毒液を宿主に注射するといわれる刺針ししん)と体液を吸引するための吻(ふん)がある。腹部は小さく,後端は2葉に分かれ,小さな尾叉(びさ)をもつ。体長5~10mmくらい。この類は付属肢の一般的類似などから橈脚(じようきやく)類と近い関係にあると考えられているが,鰓尾類では扁平な背甲が頭胸部を覆っていること,ノープリウス眼のほかに固着した1対の複眼をもつこと,第2小顎(しようがく)が1対の吸盤に変化していること,および雌は卵をいれた卵囊をもたないことなど橈脚類と異なる特徴をもっている。チョウでは,卵は1回に約100個くらいがゼラチン質の塊にいれられて,水中の暗いところの杭,石や水草の上などに産みつけられ,約2~4週間で孵化(ふか)する。孵化幼生は不完全ながら成体に似た形を示し,橈脚類のコペポジット期に相当する。このときすでに宿主に会えば,付着し,寄生生活をする。以後脱皮を重ね,チョウでは7回の脱皮の後成体になり,孵化後約1ヵ月くらいで成熟した成体となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鰓尾類」の意味・わかりやすい解説

鰓尾類
さいびるい
branchiuran

顎脚綱鰓尾亜綱 Branchiuraとしてまとめられる寄生性甲殻類の総称。チョウ仲間。1目 1科で,約 100種が知られている。一般に体長 1~1.5cm。体は扁平で甲に覆われる。第2小顎が一対の大型の吸盤に変形し,その間に刺針と吻がある。吸盤の代わりにかぎ(鉤)を備えた種も若干知られている。大部分の種は淡水産で,魚類の体表に一時的に寄生して吸血する。養魚場で大きな害を受けることがあり,この寄生症をウオジラミ症と呼ぶ。(→顎脚類節足動物

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