鴨嘴竜(読み)カモノハシリュウ

デジタル大辞泉 「鴨嘴竜」の意味・読み・例文・類語

かものはし‐りゅう【××嘴竜】

草食恐竜ハドロサウルス科の通称あごが平らで幅広く、かもくちばしに似るところからの名。→カモノハシ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「鴨嘴竜」の意味・わかりやすい解説

鴨嘴竜 (かもはしりゅう)
hadrosaur
trachodont

爬虫類鳥盤目の鳥脚亜目Ornithopodaに属する代表的な恐竜の一群で,2科23属31種ほどが知られている。頭骨,とくに吻(ふん)部の形態からアヒルのくちばしに似た恐竜という意味でカモハシ竜と呼ぶ。北アメリカで発見された最初の恐竜で,白亜紀後期に北アメリカとアジアを中心に栄えた。植食性,二足歩行性で,体長10mをこえる大型のものが多い。形態が多様化し繁栄した恐竜としても有名。とくに頭骨,顎骨,歯などに適応機構がみられる。大きく頭骨の発達したパラサウロロフス系統とあまり発達していないアナトサウルスとの2系統に分けられている。イグアノドンに近い恐竜である。歯はエナメル質が外側にかたよって菱形をなし,それが石畳状に交互に何列も配列している。上下の歯は斜交して咬合する。磨滅すると次々と新しい歯が萌出してくる。一生の間には何千という歯が生じていると考えられる。トクサなどケイ酸の多い植物を食べるのに適していた。眼には強膜板の輪がある。吻部は前顎骨と前歯骨が左右に扁平となり,上下に薄くくちばし状となる。表面は角質のもので被われていたと考えられている。前顎骨と鼻骨は変形して頭頂でさまざまな形態をとる。内部は外鼻孔から内鼻孔に至る鼻道が占めているために,空気を蓄え水中での生活に役立ったとか,嗅覚機能と関連している,発声器の役割を果たしたとか諸説がある。この仲間は湖沼海岸浅瀬に堆積した地層から骨といっしょに皮膚の印象(ミイラ化石が多く産出している。指の間には水かきがあることなど,この恐竜類が水生動物である証拠とされている。脊柱には強い腱が発達していた。トラコドンTrachodon(ハドロサウルスHadrosaurusともいう)が代表的なもので,日本竜もこの仲間である。
恐竜
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