鴻巣(市)(読み)こうのす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鴻巣(市)」の意味・わかりやすい解説

鴻巣(市)
こうのす

埼玉県中央部にある都市。1954年(昭和29)鴻巣町と箕田(みのだ)、田間宮(たまみや)、馬室(まむろ)、笠原(かさはら)の4村が合併、同年常光(じょうこう)村を編入して市制施行。2005年(平成17)北足立(きたあだち)郡吹上町(ふきあげまち)、北埼玉郡川里町(かわさとまち)を編入。市名は近世、足立(あだち)郡鴻巣領の領名による。大宮台地北端に位置し、東に元(もと)荒川、西に荒川の沖積低地がある。JR高崎線と国道17号が通る。江戸時代は中山道(なかせんどう)の宿場町であり、4、9の日の六斎市場(ろくさいいちば)町でもあった。近世初期から京都伏見(ふしみ)の彫刻師が伝えた人形づくりが有名で、文化(ぶんか)年間(1804~1818)には30軒近くの業者があったといわれ、いまでも「雛人形(ひなにんぎょう)」の伝統が続いている。周辺の農村では、米、野菜づくりが行われるほか、花卉(かき)栽培が盛ん。近年、工場や住宅が増加して都市化が著しく、水田面積は減少している。駅南方にある勝願(しょうがん)寺には、江戸時代の関東郡代伊奈忠次(いなただつぐ)の墓があり、県指定史跡となっている。また、原馬室(はらまむろ)にある古代埴輪(はにわ)窯跡や、大間伝源経基館跡も県指定史跡。面積67.44平方キロメートル、人口11万6828(2020)。

[中山正民]

『鴻巣市郷土史研究会編『鴻巣史話』(1969・鴻巣市)』『『鴻巣市史』全11巻(1989~2006・鴻巣市)』


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