鶯宿梅(読み)おうしゅくばい

精選版 日本国語大辞典 「鶯宿梅」の意味・読み・例文・類語

おうしゅく‐ばい アウシュク‥【鶯宿梅】

〘名〙
① 「大鏡」などに見える故事村上天皇の時、清涼殿の前の梅が枯れたので、京のある家からもってきて移し植えたが、その枝に「勅なればいともかしこしうぐひすの宿はと問はばいかが答へむ」という歌が結びつけてあった。天皇はその家の主が紀貫之の娘の紀内侍(きのないし)であったことを知り、深く感じてその木を返したという。また、その梅の木。
※人情本・春色恵の花(1836)二「紀氏の才女古事は、彼の相国寺に美名を残す鶯宿梅」
② (①から) ウメの園芸品種。香り高く紅白の花がまじって咲き、一重八重がある。《季・春》
蔭凉軒日録‐長享二年(1488)二月一〇日「自禅昌院鶯宿梅二小枝見之。其香尤深。可愛賞
③ 香木の名。分類は伽羅

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デジタル大辞泉 「鶯宿梅」の意味・読み・例文・類語

おうしゅく‐ばい〔アウシユク‐〕【×鶯宿梅】

村上天皇の時、清涼殿前の梅が枯れたので紀貫之きのつらゆきの娘紀内侍きのないしの家の梅を移し植えたところ、枝に「ちょくなればいともかしこしうぐひすの宿はと問はばいかが答へむ」という歌が結んであり、天皇はこれに深く感じて梅の木を返したという、拾遺集大鏡などにみえる故事。また、その梅の木。
梅の一品種。香りがすぐれ、花は白、または紅・白まじって咲く。 春》

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鶯宿梅」の意味・わかりやすい解説

鶯宿梅
おうしゅくばい

鶯(うぐいす)の宿る梅の意で、紀内侍(きのないし)の家にあった梅の名。村上(むらかみ)天皇のとき、清涼殿(せいりょうでん)の前の梅が枯れたため、西京(にしのきょう)のある家から掘り取らせてきたが、木の枝に「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へん」という歌が結び付けてあった。天皇はその家の主が紀貫之(きのつらゆき)の娘、紀内侍であったことを知り、深く感じ心残りなことをしたと思ったという故事による。『大鏡』(巻6「道長下」)、『拾遺和歌集』(雑下)などにみえる。

[藁科勝之]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「鶯宿梅」の解説

鶯宿梅
おうしゅくばい

歌舞伎浄瑠璃外題
初演
宝永1.1(京・万太夫座)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鶯宿梅」の解説

鶯宿梅 (オウシュクバイ)

植物モクセイ科の落葉低木,園芸植物オウバイ別称

鶯宿梅 (オウシュクバイ)

植物。梅の品種

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デジタル大辞泉プラス 「鶯宿梅」の解説

鶯宿梅(おうしゅくばい)

古典落語の演目のひとつ。上方種。「春雨茶屋」とも。

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