麦踏み(読み)ムギフミ

デジタル大辞泉 「麦踏み」の意味・読み・例文・類語

むぎ‐ふみ【麦踏み】

早春に麦の芽を足で踏みつける作業霜柱を防いで根張りをよくし、また、麦が伸びすぎないようにするために行う。 春》「歩み来し人―をはじめけり/素十

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改訂新版 世界大百科事典 「麦踏み」の意味・わかりやすい解説

麦踏み (むぎふみ)

秋まきのムギ類を栽培する場合に行う特殊な管理作業。まだ,伸長生長を始めていない匍匐(ほふく)状態(ロゼット状態)のときに植物体の上から,両足ローラーなどで,3~4回,鎮圧(踏圧)する。関東地方に例をとると,12月から翌年2月10日前後(このころ,伸長生長を開始する)にわたって行う。植物体は折り曲げられ,傷つけられ,地面は圧せられる。その後作用として,植物体の葉色は濃くなり,乾生形態(乾生植物の項を参照)をとるに至り,根は長くなる。また,浸透圧は高く,稈(かん)は強くなるが,養・水分の移動が不活発となり,主稈などの幼穂の生育が一時的に抑制され,さらに,分げつ,とくに有効分げつが多くなり,穂ぞろいもよくなる。凍害干害,霜柱の害,風による土壌飛散の害を防ぐものとして,古くより内外で行われ,増収効果が認められている。しかし,ムギの生育状態に応じて行うことがたいせつで,不適当な状態や時期に麦踏みを行うと,逆効果を生ずることがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「麦踏み」の意味・わかりやすい解説

麦踏み
むぎふみ

秋播(ま)きのコムギ、オオムギなどを冬季に一または数回踏みつける作業。踏圧(とうあつ)ともいう。霜柱で持ち上がった株もとや周りの土を踏み固め、凍霜害を防ぐ効果のほかに、ムギの芽を踏圧することにより徒長を防ぎ、耐寒性を増す効果があるとされる。土質の軽い火山灰地などでは必要な作業であるが、現在では省力のためにほとんど行われない。しかしトラクターでローラーを牽引(けんいん)するなどの方法で効果をあげているところもある。

[星川清親]

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百科事典マイペディア 「麦踏み」の意味・わかりやすい解説

麦踏み【むぎふみ】

麦の幼い茎葉を上から踏みつける作業。晩秋〜冬季に行われる。回数は気候,土質,品種,播種期,播種量および施肥量によって異なるが,ふつう本葉が3〜4枚になったころを第1回目として幼植物時代に3回ぐらい行う。霜柱による凍上,風による土の移動防止,土壌水分・肥料吸収の有効利用,茎葉の徒長防止,耐寒性・耐干性の強化,分げつ促進等の効果がある。現在はタイヤローラーを用いて行うことが多い。

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