改訂新版 世界大百科事典 「麻酔分析」の意味・わかりやすい解説
麻酔分析 (ますいぶんせき)
narcoanalysis
静脈麻酔薬であるアモバルビタール(商品名アミタールまたはイソミタール),チオペンタールナトリウム(商品名ラボナール)といった薬物をゆっくりと静脈内注射することによって意識的な抑制をとり,心の中に抑圧された体験や情動葛藤を表出させる精神科的治療法の一つ。最近は,抗不安薬であるジアゼパムなども用いられることがある。アメリカにおいて第2次大戦中,戦争神経症の治療に開発されたものであるが,転換ヒステリー,心因性健忘,急性の不安状態などの治療に応用されている。抑圧された心的内容を表出させ分析することが,結局は統合を目的としているという意味から麻酔統合ともよばれる。そのほか,麻酔面接,アミタール面接,麻酔分析療法などの呼称もある。
執筆者:武正 建一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報