黒人意識運動[南アフリカ共和国](読み)こくじんいしきうんどう[みなみアフリカきょうわこく](英語表記)Black Consciousness Movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

黒人意識運動[南アフリカ共和国]
こくじんいしきうんどう[みなみアフリカきょうわこく]
Black Consciousness Movement

アパルトヘイト時代の南アフリカ共和国で起こった黒人の解放運動。1968年に結成された南アフリカ学生機構 SASOの初代議長であり,1972年に創設された黒人人民会議 BPCの名誉議長でもあったスティーブ・ビコ(1977年9月拘禁中に死亡)によって始められた。黒人の伝統,慣習,価値の再評価を通じて黒人に誇りと自信を植え付け,政治意識を高めて自己解放に結びつけようというもの。具体的には,黒人共同社会計画によって自助の精神や制度を黒人の間に広め,ブラック・コミュナリズム型経済体制の確立を目指した。運動の性質上,白人リベラルとの共闘は拒否し,黒人大衆の間に着実に勢力を浸透させた。南アフリカ政府によるバンツースタンホームランド)への独立付与政策に強く反対し,1976年6月のソウェト蜂起も,この運動に刺激された面が強い。ソウェト蜂起以後,黒人意識運動の流れをくむ代表的な組織としては 1978年創設されたアザニア人民機構 AZAPOがある。

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