黒曜石水和層年代測定法(読み)こくようせきすいわそうねんだいそくていほう(英語表記)dating by hydrated layer of obsidian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒曜石水和層年代測定法」の意味・わかりやすい解説

黒曜石水和層年代測定法
こくようせきすいわそうねんだいそくていほう
dating by hydrated layer of obsidian

1960年に新しく応用されはじめた,黒曜石表面にある水和層の厚さを利用した年代測定法火山噴出物である黒曜石は,生成時にマグマに由来する水を 0.3%程度含んでいる。時間の経過とともに表面から水和され,形成された水和層は,3%の含水量を示している。そのため,水和層と水和していない黒曜石の内部との間に,水の拡散面を境として屈折率の差が生じる。光学顕微鏡で見ると,この境界面に沿ってやや輝いた線が見えるので,これを利用して水和層の厚さを計測することができる。水和層は条件さえ整っていれば,一定割合で増加するので,黒曜石が人為的に加工された年代を知ることができる。しかし,増加率は岩石的性質,気温,温度などによって変化するので,測定にはこれらの要素が十分に考慮されなければならない。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「黒曜石水和層年代測定法」の解説

黒曜石水和層年代測定法
こくようせきすいわそうねんだいそくていほう

黒曜石表面の水和層の厚さをもとに,黒曜石製石器または同石片の年代を測定する方法。黒曜石は表面から内部に拡散した水による水和層が発達する。水和層発達速度は温度や黒曜石の化学組成などにより変化する。北海道関東では他の年代測定法をもとに水和層発達速度が決定され,約2万5000~1000年前の石器群の編年が可能とされる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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