陸奥国和賀郡の在郷町。現在の岩手県北上市(1954年市制)の中心地域。北上川と和賀川の合流地域にある交通の要所。古代には和賀郡の郡衙所在地であったといわれ,また平安時代陸奥に勢力をはった安倍頼時の子,安倍黒川五郎正任の故跡といわれる館跡がある。近世には盛岡藩領で,1604年(慶長9)町割りが行われ,三斎市が開かれ,この地方の中心的な市場町として発展した。また黒沢尻,鬼柳の両通り地域を支配する代官所も設置され,奥州街道(松前道)の馬継所としても重要であった。さらに1626年(寛永3)北上川大改修の後は水運が盛んになり,盛岡藩の蔵米輸送の中継地点として栄えた。すなわち盛岡より小繰船で運ばれた蔵米は,黒沢尻で艜(ひらた)に移され,石巻に運漕されたのである。天和年中(1681-84)すでに黒沢尻の艜は45艘を数え,近世後期には55艘にまで増加している。明治以後も商業都市として栄えた。
執筆者:守屋 嘉美
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…岩手県北上盆地の中央にある市。1954年和賀郡黒沢尻町と飯豊,更木,二子,鬼柳の4村,胆沢郡相去,江刺郡福岡の2村が合体して市制。人口8万7969(1995)。…
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