鼻紋(読み)びもん

日本大百科全書(ニッポニカ)「鼻紋」の解説

鼻紋
びもん

ウシ鼻面の皮膚面(鼻鏡(びきょう))に、浅いによってつくりだされる紋様をいう。鼻紋は、ヒトとかサルの指紋のように個体固有で一つとして同じ型のものはなく、一生変わらないので個体識別に用いられる。とくに斑(はん)のない単色の個体、たとえば黒毛和種などの登録の際に利用されている。

 ウシの鼻端は鼻唇平面とよばれ、平坦(へいたん)でつねに腺(せん)分泌物でぬれている。これをよくぬぐい、ローラーでインキを塗り、吸収力のよい中程度の厚さの西洋紙を当てて鼻紋を写し取る。とくに上唇に近いところはもっとも個体差が明確である。鼻紋は遺伝するので、これによって血縁関係を推定することもできる。同性双子では両個体雌雄どちらであっても互いに類似点が多く、異性双子の場合ではそれほど類似しないといわれる。鑑定のために、中央に溝のある有溝型、さらにそれは羽脈状と短羽脈状に、また溝のない無溝型は放射状と波状に、それぞれ類型区分がなされている。しかし、これら四型ははっきり区分されるものでなく、中間の移行型もみられる。

[西田恂子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「鼻紋」の解説

鼻紋
びもん
muzzle pattern

ウシの鼻先,すなわち鼻鏡にあるそれぞれの個体に特有なのこと。人の指紋と同様に厳密な個体判別に使える。ホルスタイン種のように白黒斑紋で容易に識別できる場合は必要もないが,全黒や全赤の和牛の個体判別には重要な意義をもっている。紋状に従って普通A,B,C,Dの4つの型に分類され,和牛の登記証明書や登録証明書には,紙に写した鼻紋をつける。鼻紋の紋状は遺伝形質として認められているが,実際の紋状は個体発生過程で物理的な力の作用をも受けて,個体ごとに特有なものになる。

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精選版 日本国語大辞典「鼻紋」の解説

び‐もん【鼻紋】

〘名〙 牛の鼻づらにある紋。個体によって紋が異なるので逃亡の際など識別に用いる。〔こちら社会部(1964)〕

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デジタル大辞泉「鼻紋」の解説

び‐もん【鼻紋】

牛の鼻面にみられる紋様。個体により異なるので、識別に利用する。

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世界大百科事典 第2版「鼻紋」の解説

びもん【鼻紋 muzzle print】

反芻類などの鼻鏡部にある凹凸の紋様。個体ごとに固有で,終生不変であるため,人間の指紋と同様に個体識別に用いられている。とくに毛色が単色で,斑紋により個体識別のできない和牛においては登録の際に利用されている。鼻紋を採取するには鼻鏡を乾いたでよくぬぐい,墨汁かスタンプインキをつけてから和紙を押し当てる。鼻紋の型は中央に溝のある有溝型と中央の溝のない無溝型に大別され,有溝型には中央溝が長い長羽脈型と,短い短羽脈型が,無溝型には下から上へ溝が放射状の放射型と,溝が横に波状の波状型とが区別される。

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