チョウジタデ(読み)ちょうじたで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウジタデ」の意味・わかりやすい解説

チョウジタデ
ちょうじたで / 丁子蓼
丁字蓼
[学] Ludwigia epilobioides Maxim.

アカバナ科(APG分類:アカバナ科)の一年草タゴボウ田牛蒡)ともいう。茎は稜(りょう)があって直立し、分枝して高さ30~70センチメートル、紅色を帯びる。葉は互生し、披針(ひしん)形で柔らかく、短い柄がある。8~10月、葉腋(ようえき)に無柄の小さな黄色花を開く。萼片(がくへん)は4枚、卵形で宿存し、花弁も同数でごく小さい。雄しべは4本。子房は下位で、基部に小包葉が2枚ある。蒴果(さくか)は線状円柱形。種子は海綿質の果皮の一部に包まれ、紡錘状で長さ0.9ミリメートル、褐色の縦条がある。水田湿地に多く生え、本州から沖縄、および朝鮮半島、中国、東南アジアに分布。チョウジタデの名は、花が終わったあとがチョウジに似て、全体がタデを思わせるのでいう。タゴボウの名は、根の形がゴボウに似ることによると思われる。

[小林純子 2020年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョウジタデ」の意味・わかりやすい解説

チョウジタデ(丁子蓼)
チョウジタデ
Jussiaea prostrata; false loosestrife

アカバナ科の一年草。旧大陸の熱帯亜熱帯に広い分布をもち,日本では北海道を除く各地の水田や湿地に普通にみられる。茎は緑色でしばしば紅色を帯び直立する。葉は披針形で短い柄があって互生する。夏から秋にかけて,葉腋に黄色の花をつける。花弁,萼片とも4枚で,おしべも4本,めしべは1本である。果実は4~5室に分れた 蒴果で,熟すると果皮が裂けて種子を露出する。和名は葉の形がタデの類に,花が香料にするチョウジに似ていることによる。

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世界大百科事典(旧版)内のチョウジタデの言及

【ミズキンバイ(水金梅)】より

…花期は7~9月。チョウジタデL.epilobioides Maxim.は川のふちなどに生えるありふれた一年草。花は径8mmほどで,花弁は萼片より短い。…

※「チョウジタデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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