読者の情緒に強く訴えるエロやゴシップあるいは暴露記事などを扇情的に扱って、売れ行きの増大を図る興味本位の低俗新聞。日本の新聞は明治20年代後半に入ると、しだいに大衆化したが、それにつれて、東京の商業新聞の間で激しい販売競争が起こった。1892年(明治25)黒岩周六(涙香(るいこう))が創刊した『萬朝報(よろずちょうほう)』は、「艶種(つやだね)」や上流階級の「蓄妾(ちくしょう)」問題などプライバシーを暴露するような記事で売り出したが、その新聞が淡紅色の用紙を使っていたところから、赤新聞ということばが生まれたといわれる。こうした扇情的な低俗新聞は同じころアメリカにも出現した。それをイエロー・ジャーナリズムという。
[高須正郎]
明治20年代の後半に東京の商業新聞がはげしい販売競争を演じたとき,つやだねや暴露記事で売行きの増大をはかった新聞を赤新聞といった。1892年黒岩涙香の創刊した《万朝報》が〈娯楽的毒舌新聞〉(正岡芸陽の言葉)として売り出したのがその最初で,同紙が淡紅色の用紙だったことからこの名が生まれたともいう。昭和の初め《読売新聞》が正力松太郎新社長のもとで部数を増していったころにも,新聞界の一部にこれと似たセンセーショナリズムの傾向が見られた。
→イェロー・ジャーナリズム
執筆者:荒瀬 豊
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…部数,利潤の拡大を至上目標に,スキャンダル,センセーショナリズムを売物にするジャーナリズムへの蔑称(べつしよう)。日本で赤新聞といわれるのがほぼ同義。1890年代,巨大企業と化したピュリッツァーの《ワールド》紙と,ハーストの《ニューヨーク・ジャーナル》紙は,常軌を逸した競争を展開する。…
…また黒岩涙香の《万朝報》や秋山定輔の《二六新報》は,それぞれに政・財界人のめかけ囲いを暴露したり,民営タバコのもうけがしらの私行をあばいたり,吉原の娼妓を解放したりなどしてセンセーショナルな紙面構成をはかり,廉価なこととあいまって大衆的な新聞となった。とくに《万朝報》の用紙がうす桃色だったこともあって赤新聞とさげすまれたが,これは既成体制の選良層が放ったものであった。 前世紀末のアメリカでは,行政機構の腐敗や独占資本の権勢を公衆にむかって告発するマックレーキングmuckrakingという報道活動がおこなわれた。…
※「赤新聞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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