商業新聞(読み)しょうぎょうしんぶん

精選版 日本国語大辞典 「商業新聞」の意味・読み・例文・類語

しょうぎょう‐しんぶんシャウゲフ‥【商業新聞】

  1. 〘 名詞 〙 不特定多数読者対象発行、販売される新聞。とくに機関紙などの党派的新聞に対していう。商業紙。一般紙
    1. [初出の実例]「商業新聞の甘さを笑った『アカハタ』も、問題の所在を見失った点では商業新聞と同様であった」(出典:日本人の中国観(1949)〈竹内好〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「商業新聞」の意味・わかりやすい解説

商業新聞 (しょうぎょうしんぶん)

販売収入,広告収入などを経営の基盤とし,利潤の獲得を前提とする新聞。日本では明治初期の新聞発達初期には,大(おお)新聞と小(こ)新聞があり,前者は政論中心であってそのほとんどは政府・政党から資金援助を受けることの多い御用新聞や政党新聞で,利潤獲得は第二義的であったのに対し,後者はそのような援助を受けることが少なく,企業存続のために利潤を得る必要があった。日本の商業新聞はこの小新聞源流にして,明治後期から急速に発展して現在に至っている。その間,政党の解散衰退などに伴い大新聞の多くも商業新聞への転換を図ったが,小新聞による買収改題,統・廃合など多くの変転を経ている。

 欧米の商業新聞では,イギリスのクオリティ・ペーパー(高級紙)と大衆紙のように,新聞としての性格や記事,内容はもちろん,その購読者層までも明確に分別されていることが多く,アメリカでもフランスでも商業新聞の大部分は,政党からの財政も含めて独立independentの立場をとりながらも,明確な政治的立場を掲げている。それに対して日本の商業新聞の読者はあらゆる階層職種に広がって,ことに全国紙は世界の日刊紙中屈指の巨大部数をもっており,また政治的には〈不偏不党〉をうたい,独自の政治的立場をもたず,左右両翼の中点に立つことが多いという特徴がある。このことは,日本の言論統制史上の経過や,資本主義形成期に政治的〈無色〉情報を求める商工読者の増加,日本人の伝統的中庸性などさまざまな要因が考えられる。
大新聞・小新聞 →新聞
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