管理しようとする対象をA、B、Cの3グループに分け、それぞれの特性に対応した管理方式(ABC管理)を重点的に実施するための前提となる分析をいう。在庫管理、品質管理、得意先管理などに用いられる。
在庫管理を例にとって説明しよう。購入資材には、単価が高く少量しか使用しないものから、単価が安く大量に使用するものまでさまざまなものがある。まず(1)購入金額(単価×購入量)の大きな品目順にグラフの横軸に並べる。(2)縦軸に金額をとり、各品目の累計曲線を描く。通常この曲線は、右上りの逓減曲線の形をとる。(3)累計総金額の70~75%までに入る品目をAグループ、それを超えて90~95%までに入る品目をBグループ、残りをCグループとする。Aグループは、品目は少ないが金額が大きいから、入念に個別的に管理する必要がある。これと対照的に、Cグループは、品目は多いが金額が少ないから、定型的チェックを主とし、例外的事態だけを管理するようにする。Bグループは、これらの中間的な管理をする。
ABC分析は、イタリアの経済・社会学者V・パレートが社会現象について発見した「少数要因によって大勢は左右される」という法則を基礎にしているため、パレート分析ともよばれる。この法則を応用すれば、まんべんなくあらゆる事象に管理努力を払うことはむだであるうえ、効果が低く、Aグループの集中管理が望ましいことになる。
[森本三男]
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