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EBM いーびーえむ

妊娠・子育て用語辞典の解説

いーびーえむ【EBM】

EBM は「Evidence based medicine」の略。その医師の経験や主観だけではなく、根拠のあるデータに基づいて医療を行なおう、という取り組みです。患者が何かの治療法を選択しようとするときは、こうした「EBMに基づいた説明」を受けることが重要とされています。

出典|母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授) 妊娠・子育て用語辞典について | 情報

知恵蔵の解説

EBM

医療行為や薬剤が医学的にも経済的にも有効かどうかを厳しく評価し、有効と証明された医療。日本では厳密な証明なしに実施される医療行為が少なくない。欧米では個々の医療現場でも医師がEBMを重視している。EBMはデータによって、数ランクに分けられる。患者を二分し、薬と偽薬の効果を比較する比較臨床試験が多数あるのが最高ランクで、少数の比較臨床試験、比較しない臨床試験などの順で信頼度は低くなる。1992年、英国政府の支援で、各国の研究者が治療法ごとに世界中の論文をデータベース化し、EBMレベルを明らかにする作業が始められた。提唱者の医師、A.コクランの名を取ってコクラン共同計画と呼ばれている。

(田辺功 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

大辞林 第三版の解説

EBM

〖evidence-based medicine〗
根拠に基づいた医療。経験則に頼る医療から脱却し、臨床研究などの科学的データをもとに、患者にとって最も有益で害の少ない治療法を選択する医療。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

EBM
イービーエム
Evidence Based Medicine

臨床試験などの客観的根拠,個々の患者のニーズ価値判断,さらには患者側の経済的負担などを総合的に検討したうえで治療法を決定すること。高齢化と医療技術の進歩による医療費負担の増大が背景にある。欧米ではすでに行われているが,日本では一般に医師側の経験や慣例権威などに基づいた医療行為が実施されている。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

EBM
いーびーえむ
evidence based medicine

エビデンス・ベースト・メディシンevidence based medicineの略称で、「根拠(証拠)に基づく医療」と訳される。数多くの確実な臨床試験で有効性の根拠がはっきりしている薬や治療法をいう。
 EBMは、1991年にカナダ・マクマスター大学の教授ゴードン・ガイアットGordon Guyatt(1953― )が提唱し、医療界に浸透した。その概念はガイアットの師のデビッド・サケットDavid Sackett(1934― )が1970年代から構築しつつあったといわれる。本来は広く関連文献を調べ、目の前の患者への適応を判断し、診療することであったが、しだいに個々の診療内容がどの程度、疫学的、統計的に効果を保証されているか、といった意味で使われることが多くなっている。日本の医療界には1990年代後半に導入され、専門誌「EBMジャーナル」(中山書店)が創刊された1999年(平成11)ごろからかなり一般的になった。
 証拠(エビデンス)には段階がある。もっとも評価が高いのは、無作為化で比較した臨床試験データが多数ある場合で、その次は一つある場合、以下、臨床試験データや治療前後の比較報告、症例報告、専門家の意見、の順番になっている。無作為化の臨床試験とは「二重目隠し試験」とよばれるもので、患者をくじ引きで2グループに分け、医師にも患者にもどちらに当たるかを知らせず、片方に評価目的の薬、片方に別の薬や偽薬を与える。医師や患者の思い込みを排除し、治療効果を確認する。ただし、患者にも医師にも歴然とわかる治療法は評価が1ランク落ちることになる。
 厚生労働省は厚生省時代の1999年度(平成11)から標準治療として、EBMにかなった診療ガイドラインづくりを始めた。学会独自も含め、多くのガイドラインが完成している。
 EBMは診療の参考にはなるが絶対的なものではない。第一にデータ蓄積までに時間がかかるので、特定の医師しかしていない新しい治療は、たとえ有効でもEBMではない。また、日本の漢方薬のような多数成分の複合治療は高レベルのEBMにはならない。質のよい臨床試験はお金がかかるので、資本力の強い製薬企業などに有利、といった欠陥がある。
 一方、EBM全盛のなかで、反省や反発もある。EBMを補う考えとしてNBM(エヌビーエム=ナラティブ・ベースト・メディシンnarrative based medicine)も重要視されている。NBMは多数の統計ではなく、個々の患者との対話を重視し、病気の背景を理解し、全人格的な対応をする医療である。narrativeは物語の意味だが、無理に訳せば「対話に基づく医療」となろう。結局はEBMとNBMの組合せが大切である。[田辺 功]
『Milos Jenicek著、西信雄・川村孝訳『EBM時代の症例報告』(2002・医学書院) ▽J・A・ミュア・グレイ著、久繁哲徳監訳『根拠に基づく保健医療――健康政策と経営管理の判断決定の方法』(2000・オーシーシー・ジャパン、じほう発売) ▽J・A・ミュア・グレイ著、斉尾武郎訳『患者は何でも知っている――EBM時代の医師と患者』(2004・中山書店) ▽ポール・グラッツオー、クリス・デル・マー著『EBM――楽しい演習帳』(2004・金芳堂) ▽名郷直樹著『EBMキーワード』(2005・中山書店) ▽J・A・ミュア・グレイ著、津谷喜一郎・高原亮治監訳『エビデンスに基づくヘルスケア――ヘルスポリシーとマネージメントの意思決定をどう行うか』(2005・エルゼビア・ジャパン) ▽ロバート・H・フレッチャー、スーザン・W・フレッチャー著、福井次矢監訳『臨床疫学――EBM実践のための必須知識』第2版(2006・メディカル・サイエンス・インターナショナル) ▽縣俊彦編著『基本医学統計学――EBM・医学研究・SASへの応用』第5版(2009・中外医学社) ▽『EBMジャーナル』隔月刊(中山書店)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

図書館情報学用語辞典の解説

EBM

現在ある最良のエビデンス(外部の臨床的根拠)と,患者の意向や価値観,医師の専門的臨床能力とを統合し,個々の患者のケアを意思決定する医療実践.「根拠に基づいた医療」と訳されることが多い.〈1〉患者の問題の定式化,〈2〉問題についての最良の根拠の能率的探索,〈3〉根拠の妥当性・有用性の批判的検証評価,〈4〉検証評価結果と臨床的能力を統合し患者へ適用,〈5〉1~4の評価,の5ステップで行われる.エビデンスとは臨床にかかわる研究を意味し,論文,システマティックレビュー(系統的総説)などが情報源となる.

出典|図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典について | 情報

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