デジタル大辞泉
「ETC」の意味・読み・例文・類語
イー‐ティー‐シー【ETC】[Electronic Toll Collection System]
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ETC
いーてぃーしー
高速道路などの料金所で止まらずに通行料を精算できるシステム。Electronic Toll Collection Systemの略称。自動車に通信装置を取り付け、料金所のETCレーンのアンテナとの間で無線でデータをやり取りし、料金を銀行口座からの引き落としなどにより収受する仕組みである。料金所付近での自動車の流れを円滑にして、渋滞を緩和するねらいがある。2001年(平成13)3月から、東京湾アクアラインほか首都圏の料金所などでサービスが開始され、2002年度末までに全国の主要な料金所に導入された。ETC利用者には、通行時間帯による割引や、装着車両のみがスマートインターチェンジを利用できるなどの特典がある。国土交通省資料によると、2016年3月の1日当りの平均ETC利用台数は約719万台で、利用率は90.3%である。
ETCの機能をさらに進化させたものにETC2.0システムがある。これまでITSスポットサービスやDSRC(dedicated short range communication)の名でよばれていたものであるが、ETC2.0の名称で統一された。すでに運用が始まっており、路車協調システムによるさまざまな運転支援サービスが行われている。ETC2.0では、ETCが備える高速道路利用料金収受機能に加えて、駐車場料金の支払いのほか、運転者に対して情報を提供することで、交通集中による渋滞回避や、安全運転の支援などが可能になる。このサービスを受けるためには、ETC2.0に対応する車載器が必要になる。
ETC2.0の各種サービスを可能にしているのは、道路沿いに設置されたITSスポットとよばれる通信アンテナと車載器である。この双方間で高速・大容量通信(DSRC通信)を行うことで情報を伝達する。
ITSスポットは高速道路上のサービスエリアや道の駅など全国約1600か所(2015年10月1日時点、ITSサービス高度化機構調べ)に設置され、さらに増設が計画されている。DSRC通信は電波ビーコン(5.8ギガヘルツ帯)による通信方式のことで、従来から設置されているVICSビーコン(電波ビーコン)と比べて、格段に高速で大容量の双方向情報伝達が可能になった。
[伊東和彦 2016年8月19日]
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知恵蔵
「ETC」の解説
ETC
自動料金収受システム。Electronic Toll Collection Systemの略。車に取り付けた車載器が有料道路の料金所アンテナと交信し、通行料を自動的にクレジットカードから引き落とす。いちいち車を停止させることなく、ノンストップで料金所を通過することができることから、サービスが開始された2001年以来、普及が進んできた。09年3月28日には、政府が景気対策として打ち出した、地方高速道路料金の一律1000円化(土日祝・ETC車のみ)がスタートし、普及にさらに弾みがついた。
ETCは、料金所付近の渋滞を解消するため、1995年に国土交通省(旧建設省)が研究開発に着手し、6年後には一般へのサービスが開始された。当初の利用率は1割にも満たなかったが、2009年3月の利用率は76.7%にのぼり、首都高速道路では80%を超えている。
ETCを利用するには、車に取り付ける車載器と、そこに挿し込むETCカードが必要だ。また、車載器は購入しただけでは使えず、車のナンバーなど車両情報を入力する「セットアップ」をセットアップ登録店でやってもらう必要がある。なにかと費用がかかるため、当初はあまり普及しないのではないかと懸念されていたが、助成制度が設けられたこともあり、消費者に割安感が出た。09年3月12日からは、2年以上の契約・支払い回数2回以上を満たし、アンケートに協力すれば、四輪車で5250円、二輪車で1万5750円の助成が受けられる。また区間や時間帯によっては、さまざまな割引制度が用意されている。
国土交通省は、ETCの普及により、渋滞緩和だけでなく、料金所周辺のCO2削減や経済活性化などプラスの効果がもたらされるとしているが、一方で混乱も生じている。地方高速一律1000円が始まり、ETCを買い求める消費者が急増したため、車載器の品切れを起こす販売店が続出。また、都市部の高速道路は一律1000円の対象からはずれており、料金体系が複雑になったことから、徴収システムの対応が追いついていなかったり、高速道路会社への問い合わせが相次いだりした。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
ETC
イーティーシー
高速道路など有料道路の自動料金収受システム。Electronic Toll Collection Systemの略。情報通信技術を用いて交通渋滞や交通事故などの道路問題の解決をはかる高度道路交通システム ITS; Intelligent Transport Systemsの一種。料金所での通行料金支払いによる混雑の緩和を目的に導入が計画され,1993年研究に着手,2001年3月サービスが開始された。車両が専用ゲートを通過する際に,車載器および情報登録済みの ICカードと料金所に設置されたアンテナが無線交信を行ない,自動計算された通行料金がクレジット機能によって決済される。均一料金制と,走行距離に応じた料金を支払う対距離料金制がある。混雑の緩和だけでなく,簡易料金所の設置や,通行時間帯ごとに料金を設定する割引サービスも容易になった。日本全国の ETC利用率は 2014年3月には約 90%に達している。海外では 1997年,カナダのトロントに世界初の完全 ETC高速道路 407号線が開通した。
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ETC【イーティーシー】
electronic toll collection systemの略で,自動料金収受システムとも。有料道路の料金所で停車することなく支払いができるシステム。料金所のアンテナと車載の通信装置が無線交信を行って通行料を精算(銀行口座などから自動引落し)する。渋滞緩和を目的に2001年から実施。高額な車載器などのため普及率はまだ低いが,購入費用の補助制度などができて,ETC車載器の登録が増えてきた。
→関連項目東京湾アクアライン
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ETC
有料道路の料金所を止まらずに通過できる「自動料金収受システム」のこと。料金所に設置されたアンテナと、ETC車載器との間で無線通信を行なう仕組み。ETC車載器にカードを挿入し、どの車がどこからどこまで有料道路を利用したかを記録し、後日、クレジットカードで決済される。これにより、渋滞を緩和するのが目的。国土交通省が2001年からサービスを開始し、2005年5月時点での利用率は40%程度。今後の普及が課題となっており、国交省や道路公団はETC搭載車向けの割引料金を実施するなど普及促進に向けた活動を行なっている。
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