コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

MHD発電 エムエイチディーはつでんmagnetohydrodynamics power generation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

MHD発電
エムエイチディーはつでん
magnetohydrodynamics power generation

電磁流体力学を応用した発電法。従来の発電機の固体の導電体の代りに,高温で電離状態になった導電性の気体であるプラズマをダクトに流して直角に磁界を加え,そのいずれにも直角方向に起電力を発生させる方法。磁界の中に高温プラズマを通し,直接に電磁的に電気を得るので,熱電子発電,熱電発電などとともに直接発電の一分野とされる。研究開発中の発電方式なのでいろいろな方法や可能性があるが,いまのところ電磁界内に高温高速の導電性ジェット流を通過させ,これと平行に設けた対向電極の間に直接に電気を発生させる方式が研究されている。直接に発電するため熱効率が高く,同時に磁界を通過したあと高温の排ガスを火力発電機の蒸気タービンに誘導して火力発電をすると全体の熱効率は著しく上がる。両者を合せた総合熱効率は従来の火力発電より5割以上高い 50%程度といわれている。将来の発電方式として研究,開発が盛んである。高温ガスの電離を促すための添加剤や使用するガスや燃料,またガスの通路の材質,冷却技術など多くのむずかしい課題をかかえている。発電機の形式としては,ファラデー型,ホール型,ダイアゴナル型がある。アメリカ,日本,ロシアなどで開発が進められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵の解説

MHD発電

強力な磁石の間に高温ガス・プラズマを通過させて電極から電流を取り出す発電方式。ファラデーの電磁誘導の法則の直接的応用。燃焼ガスの運動エネルギーを直接電力に変換するので効率が高く、排出ガスで蒸気タービンを回すことで総合効率50%以上を望める。燃焼ガスを導電化するには、シード物質としてカリウムなどを添加する。問題点は、電極の耐久性。日本語では電磁流体力学発電という。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

MHD発電【エムエッチディーはつでん】

電磁流体発電とも。MHDはmagnetohydrodynamicsの略。高温高速の導電性流体を強い磁界の中で走らせ,このとき生じる起電力を利用する直接発電。流体としてプラズマや溶融金属が用いられ,効率のよい大出力の発電方式として将来を期待されている。
→関連項目超電導材料電磁流体力学発電

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

エムエッチディーはつでん【MHD発電 magnetohydrodinamic generation of electricity】

電磁流体力学(略称MHD)を応用した発電の方式で,電磁流体発電ともいう。導電性を有する燃焼ガスを磁界を横切って流し,そこから電気を取り出す発電方式。これは在来型火力発電の前置段として用いられ,両者で複合サイクルを構成することによって総合熱効率50~55%(在来火力は40%程度)が達成されるものと期待され,ソ連,アメリカにおいて大規模な試験プラントが建設され,また日本においても通産省のプロジェクトの一環として基礎研究が続けられている。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

MHD発電
えむえいちでぃーはつでん

磁気流体発電のことで、電気伝導性をもつ流体を磁界に垂直な方向に流し、電磁誘導によって生じる起電力を利用する発電法。MHDは磁気流体力学magnetohydrodynamicsの略。
 磁界の中で導体を運動させれば、磁束の変化によって導体に起電力が生じ、電流が発生する。この導体は、通常の発電機では銅線であるが、導体でありさえすれば、液体でも気体でもよい。気体の温度が2000~3000℃になれば、気体の原子から電子が飛び出し、プラズマ(高度に電離し、イオンと電子が一様に分布した状態)となり、気体は導電性を帯びる。とくに電離しやすいセシウムやカリウムを混ぜれば、電気伝導度はいっそう高くなる。プラズマが磁界の中を通過すれば、磁束の変化によって、磁界と垂直に、かつプラズマの運動方向とも垂直な方向に誘導起電力が生じる。プラズマの両わきに電極を置けば、そこに電荷がたまり、電極を導線でつなげば、導線中に電流が流れる。プラズマの温度がいかに高いとはいえ、その電気伝導度は銅などに比べたら桁(けた)違いに小さい。電気伝導度の低さを補うためには、磁束密度やプラズマの流速を思いきって高めることが必要である。そのため、強力な電磁石と秒速数百~1000メートルを超える流速が、MHD発電の欠くことのできない条件である。通常の電磁石では消費電力が大きいので、超電導磁石が不可欠である。MHD発電の熱源は、高温ガス冷却炉のような原子炉に求められるべきである。[桜井 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のMHD発電の言及

【直接発電】より

…すなわち,通常の火力発電においては,石油,石炭,あるいは天然ガスの燃焼によって得られる高温熱エネルギーを,いったんタービンの機械的回転エネルギーに変換し,その後,電気エネルギーへ変換するという過程をとっている。しかし,例えばMHD発電をとり上げてみると,そこではタービンの代りに磁界が加わった発電チャンネルがあって,直接熱エネルギーは電気エネルギーへと変換されるから,これは直接発電の一つとみなされる。直接発電の一つの特徴は,原理的に高熱効率の発電を可能にすることにある。…

※「MHD発電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

MHD発電の関連キーワード直接エネルギー変換エネルギー変換発電(電力)超伝導磁石非磁性鋼極低温超伝導直流

今日のキーワード

だまされたふり作戦

「振り込め詐欺」に代表される特殊詐欺事件の警察による捜査手法の一つで、振り込め詐欺と思われる不審な電話があった時、被害者が協力してだまされたふりをし、容疑者の電話番号、振込先、訪問時間などを聞き出し、...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android