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PCR法 ぴーしーあーるほう/PCRほうpolymerase chain reaction

知恵蔵の解説

PCR法

ポリメラーゼ連鎖反応、合成酵素連鎖反応ともいう。特定のDNA断片を大量に得る方法。試料中にDNA断片が1分子あれば、原理的には20回の反応の繰り返しで100万個以上(2の20乗)のコピーが得られる。PCR法は遺伝子の基礎研究の最も重要な手法の1つであると共に、少数の細胞から得た微量のDNA断片を増幅できることから、個人識別親子鑑定、遺伝病の診断、犯罪捜査などでも利用される。また、遺伝子組み換え原料を使用した食品かどうかの判別試験や、作物品種の鑑定などでも用いられる。PCR法を開発した米国のK.B.マリスは、1993年度のノーベル化学賞をM.スミスと共に受賞した。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

PCR法
ぴーしーあーるほう
polymerase chain reaction method

極少量のDNA(デオキシリボ核酸)もしくはRNA(リボ核酸)を、酵素反応を利用して倍倍で増加させる方法。アメリカの生化学者キャリー・B・マリスが開発した。ポリメラーゼ連鎖反応法ともよばれ、DNA分析を大きく進歩させた。4種類の核酸が連結して二重螺旋(らせん)構造を形成しているDNAは、二重螺旋を保とうとする性質をもつ。PCR法では、分析しようとするDNAの特定の領域の初めと終わりの部分に対応するように合成した2種類のDNA断片と、DNAを構成する4種類の核酸、DNA合成酵素(ポリメラーゼ)を加えて温度を変化させる。まず高温帯で2本鎖のDNAが1本鎖に分離し、それぞれ鋳型となる。次の温度帯で、加えた2種のDNA断片が鋳型に接着する。第3の温度帯ではポリメラーゼの作用により、4種類の核酸が鋳型の暗号に対応して配置・連結して延長し、2本鎖となる。この三つの温度帯をサイクルすることにより、倍倍でDNAが増え、短時間で数十万倍に増加させることができる。
 PCR法の開発により、従来は検出不可能であった微量DNAの分析が可能となり、診断分野はもとより、法医学、イネのゲノム解析など多方面での分析技術が進歩した。応用分野は今後もさらに拡大すると期待される。一方、PCR法の変法や改良法、他の増幅方法の開発も進んでいる。たとえば、日本国内で開発されたLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法という遺伝子増幅法は、増幅操作が等温で行えるという、特長をもっている。[飯野和美]
『ポール・ラビノウ著、渡辺政隆訳『PCRの誕生――バイオテクノロジーのエスノグラフィー』(1998・みすず書房) ▽谷口武利編『改訂 PCR実験ノート』第2版(2005・羊土社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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