C型ウイルス肝炎治療剤(読み)シーガタウイルスカンエンチリョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「C型ウイルス肝炎治療剤」の解説

C型ウイルス肝炎治療剤

製品名
《アスナプレビル製剤》
スンベプラ(ブリストル・マイヤーズスクイブ)
《エルバスビル製剤》
エレルサ(MSD
《グラゾプレビル水和物製剤》
グラジナ(MSD )
《グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル配合剤》
マヴィレット(アッヴィ合同会社)
《ソホスブビル製剤》
ソバルディ(ギリアド・サイエンシズ)
《ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩配合剤》
ジメンシー(ブリストル・マイヤーズスクイブ )
《ダクラタスビル塩酸塩製剤》
ダクルインザ(ブリストル・マイヤーズスクイブ)
《リバビリン製剤》
コペガス(中外製薬)
リバビリン(ファイザー、高田製薬)
レベトール(MSD)
《レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル配合剤》
ハーボニー(ギリアド・サイエンシズ)

 C型ウイルス性肝炎の治療には、インターフェロンIFN)などの注射剤や、抗ウイルス内服薬、肝機能を改善し肝炎の進行をおさえる肝庇護療法などがあります。


 注射剤を使用しないインターフェロンフリーの治療として、ウイルスの遺伝子型に合わせた内服薬を2剤以上服用する多剤併用療法が主流となっています。


 リバビリン製剤は、C型肝炎ウイルスの血中HCV RNA量が高値の人やインターフェロン単独療法で効果の現れない人、ペグインターフェロン アルファ-2との併用などのC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善のため、レベトールはインターフェロン・アルファ‐2b、ペグインターフェロン アルファ‐2b、インターフェロンベータなどとの併用で、コペガスはペグインターフェロン・アルファ‐2aとの併用で用いられます。レベトールはオムビタス水和物・パリタプレビル水和物・リトナビルと併用でセログループ2のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善に用いられます。


 また、リバビリン製剤は、ソホスブビルとの併用でセログループ2、セログループ1・2のいずれにも該当しない場合のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善にも用いられます。


 アスナプレビル製剤ダクラタスビル塩酸塩製剤は、セログループ1のC型慢性肝炎の治療で、血中HCV RNA量が高値で未治療の人、インターフェロンを含む治療法で無効または再燃となった人のウイルス血症の改善のために用いられます。


 アスナプレビル製剤ダクラタスビル塩酸塩製剤は、相互に併用します。


 グラゾプレビル水和物製剤エルバスビル製剤は、相互に併用することで、セログループ1のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善します。


 ソホスブビル製剤は、HCVの複製にかかわる蛋白質たんぱくしつの働きを阻害して、セログループ2のC型肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善します。また、リバビリンとの併用で、セログループ1・2のどちらでもないC型肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症にも作用します。


レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル配合剤は、HCVの複製にかかわる蛋白質の働きを阻害して、セログループ1または2のC型肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善します。


 ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩配合剤は、セログループ1のC型肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善します。


発疹ほっしんかゆみなどの過敏症状が現れることがあります。過敏症状が現れたときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


リバビリン製剤では、溶血性貧血、血液障害、うつ病、意識障害、ショック、血栓性血小板減少性紫斑病しはんびょう、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、消化管出血、呼吸困難、脳出血・脳梗塞、間質性肺炎、糖尿病、重い腎障害、狭心症、不整脈敗血症、網膜症、自己免疫現象、溶血性尿毒症症候群、横紋筋融解症などが現れることがあります。


 アスナプレビル製剤ダクラタスビル製剤ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩配合剤では、肝機能障害、肝不全、多形紅斑、血小板減少、間質性肺炎が現れることがあります。


 ソホスフビル製剤では、貧血、高血圧、脳血管障害が現れることがあります。


 レジパスビル・ソホスブビル製剤では、高血圧、脳血管障害がおこることがあります。


 また、インターフェロン併用の場合は重篤なうつ状態、自殺企図、躁状態、攻撃的行動、血液障害、重篤な肝障害、甲状腺機能異常、脳梗塞、全身倦怠、感冒(かぜ)、循環器障害、皮膚障害、意識障害、不整脈、消化管出血、網膜症などがおこることがあります。


 こうした症状がおこったときは、すぐ医師に相談してください。


③薬によって、肝機能の悪化、重い血液障害などが現れることがあります。こうした副作用を防ぐためにも、指示された検査は必ず受けてください。


①薬によって1日の服用回数、服用量などがちがいます。長期間使用する薬なので、1日の使用回数・使用時間、1回の使用量などについては医師・薬剤師の指示を守り、かってな判断で増量・減量したり、中止しないでください。


 進行の程度や肝炎ウイルスの遺伝子型によって(セログループまたはジェノタイプ)、治療方法が選択されます。


 リバビリン製剤レベトールは、1日2回朝夕に、インターフェロン・アルファ‐2bまたはソホスブビル製剤などとともに用います。コペガスは、1日2回朝夕に、ペグインターフェロン・アルファ‐2aまたはソホスブビル製剤とともに用います。


 アスナプレビル製剤は、1日2回、ダクラタスビル塩酸塩製剤とともに用います。服用期間は24週間です。


 グラゾプレビル水和物製剤は、1日1回、エルバスビル製剤とともに用います。服用期間は12週間です。


 グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル配合剤は、1日1回食後で、C型慢性肝炎の場合に服用期間は8週間です。C型代償性肝硬変またはセログループのいずれにも該当しないC型慢性肝炎の場合に服用期間は12週間です。


 ダクラタスビル塩酸塩製剤は、1日1回、アスナプレビル製剤とともに用います。服用期間は24週間です。


 エルバスビル製剤は、1日1回、グラゾプレビル製剤とともに用います。服用期間は12週間です。


 ソホスブビル製剤は、セログループ2の場合では1日1回、リバビリン製剤とともに用います。服用期間は12週間、セログループ1・2いずれも該当しない場合の服用期間は、24週間服用です。


 ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩配合剤は、1日2回食後、服用期間は12週間です。


 レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル配合剤は、1日1回、服用期間は12週間です。


②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質、現在使用中の薬の有無などを医師に必ず報告してください。薬によっては、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、アトルバスタチン、セイヨウオトギリソウ含有食品などの併用禁忌や併用の注意があります。


③過去にこれらの薬で過敏症状をおこしたことのある人、妊婦または現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人は使用できないことがあります。あらかじめその旨を必ず医師に報告してください。


 そのほかに、アスナプレビル製剤グラゾプレビル水和物製剤ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩配合剤グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル配合剤コペガスでは、中等度以上または重度の肝機能障害のある人は使用できません。


 ソホスブビル製剤は、重い腎機能障害の人は使用できません。


 レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル配合剤は、重い腎機能障害または透析を必要とする腎障害の人は使用できません。


 コペガスは、ヌクレオシドアナログに対して過敏症の病歴がある人、コントロール困難な心疾患のある人、異常ヘモグロビン症、慢性腎障害またはクレチアニンクリアランスが50mL/分以下の人、重いうつ病、自殺念慮または自殺企図など重い精神病状態にある人、自己免疫性肝炎の人は使用できません。


 あらかじめその旨を必ず医師に報告してください。


④心疾患、痛風、アレルギー性素因、中枢神経障害または精神疾患、軽度~中等度の腎機能障害、高血圧症、糖尿病の人、家族に糖尿病の人がいる人、耐糖能異常のある人、B型肝炎ウイルス感染または感染したことのある人は医師と相談してから用いてください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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