ベッド数が0~19床の医科および歯科の医療施設。20床以上の病院とは区別され、事業者は開設時および休止、廃止する際に保健所に届け出る。厚生労働省によると全医療施設の95%を占め、身近なかかりつけ医として地域医療で重要な役割を担う。全国の診療所数はことし6月末現在、約17万で年々増加傾向にある。
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医療機関のうち、病床数(ベッド数)が19床以下のものをいう。また、診療所のうち、病床をもたない施設を無床診療所、病床をもつ施設を有床診療所という。一般的には医院またはクリニックと称することもあるが、病院という名称を用いることはできない。病床数が20床以上の医療機関のみが病院と称することができる。医療法には「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう」と規定されている(同法1条5項)。
厚生労働省「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、2022年10月1日時点で、一般診療所数は10万5182施設であり、前年比プラス0.9%である。内訳をみると、無床診療所の数は9万9224施設であり、一般診療所全体の94.3%を占めている。有床診療所の数は5958施設である。無床診療所の数が前年比プラス1.1%であるのに対し、有床診療所の数は前年比マイナス3.4%と減少傾向が続いている。有床診療所の病床数合計は8万0436床であり、前年比マイナス3.9%と、これも減少傾向が続いている。施設数を開設者別にみると「医療法人」が4万5967施設(43.7%)ともっとも多く、次いで「個人」が4万0064施設(38.1%)、「公的医療機関」4144施設(3.9%)の順となっている。
診療所を開設するときには、医師または歯科医師は、開設後10日以内に所在地の都道府県知事に届け出なければならない。このほか、診療所は医師または歯科医師に管理させなければならないということも医療法に規定されている。
[前田幸宏 2024年10月17日]
医療施設の一つ。診療所は医療法(1948制定)によって,〈医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のために医業又は歯科医業をなす場所であって,患者の収容施設を有しないもの又は患者19人以下の収容施設を有するものをいう〉と定義づけられている。20床以上は病院と称されるが,診療所は病院とまぎらわしい名称は禁じられており,医院,クリニックと名のられている例が多い(一般に〈開業医〉が開設しているものは,この診療所にあたる)。診療所の開設者が医師または歯科医師でない場合には,医師または歯科医師を管理者としておき,都道府県知事の許可を受けて診療所を開設できることになっている。法人の場合も同様である。医療法施行規則には診療所の開設手続,管理,構造設備等についても詳しい規定がされている。医療施設のなかで診療所は患者にとって最も身近に,またその数も多く存在しており,国民の健康回復・保持に重要な役割を果たしているが,病院,総合病院,保健所等とのより密接なネットワークもさらに考えられる必要がある。
→病院
執筆者:溝口 勲
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