IETF(読み)あいいーてぃーえふ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「IETF」の意味・わかりやすい解説

IETF
あいいーてぃーえふ

インターネット技術に関するさまざまな仕様の標準化を推進する任意団体。インターネット・エンジニアリング・タスクフォースInternet Engineering Task Forceの略。アメリカのカリフォルニア州フリーモントに事務局がある。現在はISOC(アイソック)(インターネット全般に関する非営利の国際組織、インターネット協会Internet Society)の下部組織である。世界中の研究者や技術者が個人の立場で参加し、研究テーマごとにワーキング・グループ(作業部会)に分かれ標準化に向けた草案討議したうえで、普及を図るべき技術の標準の仕様を策定する。策定された仕様はIESG(Internet Engineering Steering Group、IETF代表やISOC関連団体メンバーで構成した組織)の承認を受けたのち、最終的にRFC(Request For Comments)という文書にしてインターネットを通じて発表される。これまで公表してきたRFCには、実質的にインターネット技術の国際標準とみなすことができる仕様が非常に多く含まれている。

 IETFの発足は、1960年代の終わりごろ、異なるオペレーティングシステムOS)で動作する計算機コンピュータ)の間でデータ通信を実現するため、新しい通信技術が検討され始めたことに由来する。アメリカの大学院生の個人的な活動に複数の大学の学生が集まり、データ通信のためのハードウェアや通信の規約などにおける技術の標準を模索し始めた。この研究成果が以降のインターネットの普及に大きな力となった。

 技術仕様を策定する討議は、メーリングリストmailing list(電子メールを利用したグループで情報交換するための仕組み)での議論と年3回開かれる会議で進められている。メーリングリストに登録すればだれでも討議に参加できることや、実務に携わる研究開発者の意見を基本に、実践的な技術仕様を策定する点など、組織運営や考え方に、草の根活動から生まれた影響がみられ、独自の方針をとっている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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