MO(読み)えむおー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MO」の意味・わかりやすい解説

MO
えむおー

光磁気効果(Magneto-Optic Effect)を利用した書換え可能な光ディスクMOディスク光磁気ディスクともいう。1980年に開発された。ここでの光磁気効果とは直線偏光された光が磁性体で反射するとき、磁性体の磁極の磁化方向に対応した楕円偏光(だえんへんこう)に変わる現象をいう。

 光磁気ディスクの光磁気記録材料TeFeCo(アモルファス合金など)は、強いレーザー光(約10ミリワット)を当て局所加熱すると、ある温度キュリー点、200℃ぐらい)で磁区がばらばらになる。このとき、情報に応じて外部から上または下方向の磁界を加えると、磁区は外部磁界の方向にそろうが、レーザー光をとりさると急冷されるために磁区の方向はそのままに残る。書込みにはこの現象を利用する。読出しには光磁気効果を用いるが、磁区を変化させないような弱いレーザー光(約1ミリワット)を用いるため、読出しによっても磁区の方向は変化せず、情報はそのまま保持される。レーザー光の熱により記録が左右できるため何万回もの書換えが可能で、また、レーザー光が1マイクロメートル径以下に絞れることから1メガビット/mm2以上の高密度記録が可能になる。

 主流である3.5インチタイプでは、容量128メガバイト、230メガバイト、640メガバイトなどの製品がある。CD-RW(Compact Disc Rewritable)やMDMini Disk)に用いられる、ギガバイト級の記憶容量GIGAMO(ギガモ)もある。しかし、光磁気効果による信号の変化が、DVD(digital versatile disc)に用いられている相転移方式によるものの10分の1と小さいことから、雑音に弱いという欠点がある。このため、DVD、ハイビジョンDVD、ブルーレイディスクなど、MOの後に登場した大容量記録メディアには光磁気効果は用いられていない。なお、MOはUSBメモリー普及などにより生産が減少した。

[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例