日本大百科全書(ニッポニカ) 「地熱探査」の意味・わかりやすい解説
地熱探査
ちねつたんさ
地下にある地熱資源すなわち地熱貯留層や高温岩体の存在を、地表からまたは浅い坑井(こうせい)を利用して調査し探査すること。物理的な方法としては空中写真、衛星画像法、レーダー映像法、赤外線熱映像法、重力探査法、磁気探査法、弾性波探査法、比抵抗法、自然電位法、マグネトテルリック(MT)法、地熱微動法、微小地震法、地温・熱流量法、放熱量調査などがあり、化学的な方法としては同位体化学法、地化学温度計法、土壌ガス法、水銀法などが、また地質学的な方法としては地質層序調査、断裂構造調査、変質帯調査、地質年代測定法などがある。これらの調査・探査法は大別すると、地熱資源の入れ物を探査する間接探査と、地熱資源そのものを探査する直接探査に分けられる。前者は地下構造の探査であって、金属鉱床、非金属鉱床、石油、石炭などの地下資源の探査と共通し、技術的には古い歴史をもち高度に発達している。一方後者は、地熱開発の歴史が浅いために、技術的には発達の過程にあり、いまだ確立されたものはない。したがって現在のところは各種探査法を併用し、それらの結果を総合的に判断して地熱資源の存在や広がりについて推定が行われている。地熱探査は地熱井の掘削に比べて経費が少なくてよいので、地熱探査結果の信頼性の増大は地熱開発の経済性の向上に貢献する点が大きく、技術の進歩が切望されている。
[湯原浩三]