核のごみとよばれる高レベル放射性廃棄物の最終処分を担う公益法人。原子力発電所の使用済み核燃料から出た高レベル放射性廃棄物の最終処分場を選定し、建設し、地下に埋設して処分場を閉鎖する役割を担っている。正式名称は「原子力発電環境整備機構」で、英語の頭文字をとってNUMOとよばれる。原発建設を推進してきた日本では長く高レベル放射性廃棄物の処分問題は先送りされてきたが、2000年(平成12)にできた特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年法律第117号)に基づき、経済産業大臣の認可法人として同年発足した。約20年かけて国内で技術的な調査(「文献調査」「概要調査」「精密調査」)を実施し、火山や活断層等、地下施設に影響を及ぼす場所をできるだけ避けて最終処分場の候補地を絞り込む。選定した最終処分場では、高レベル放射性廃棄物が水に溶け出さないように、高温でガラス原料と混ぜ合わせてステンレス容器の中で固め(ガラス固化体)、鋼鉄製容器(オーバーパック)に封入し、特殊な粘土(緩衝材)でくるみ、地下300メートルよりも深くに埋め、この坑道を埋めて処分場を閉鎖する(地層処分)。NUMOは、これにより高レベル放射性廃棄物を地震、津波、台風などの自然災害や戦争、テロ、火災などの人的行為から長期間隔離でき、放射線量が自然界と同程度になるまで安全に保管できると主張している。NUMO本部は東京都港区芝。職員は約140人(2018年4月時点)で、電力会社からの出向が過半を占める。運転資金は、原発を有する電力会社10社などが原発等の運転実績に応じて拠出する。
NUMOは2002年から、技術的な調査を受け入れる自治体の公募を始めたが、住民の反対などで受け入れる自治体はなかった。このため2015年、科学的に複数候補地を選んで受入れを打診する方式に転換、2017年に地層処分の適地を示した科学的特性マップを公表した。ただ地層処分は、技術的な調査の開始から処分場の閉鎖まで100年以上かかる長期事業であり、最終処分場閉鎖までの総費用は約3兆7000億円かかるとみられるのに対し、NUMOの積立金は1兆円にとどまっている。
[矢野 武 2018年9月19日]
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