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放射性廃棄物 ほうしゃせいはいきぶつ radioactive waste

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

放射性廃棄物
ほうしゃせいはいきぶつ
radioactive waste

原子力発電所,原子力船の原子炉,核燃料の製造および処理工場,アイソトープの使用工場,事業場,アイソトープや治療用放射性物質を使用する病院,放射性物質を使う研究所などから気体,液体,固体として排出される廃棄物。

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知恵蔵2015の解説

放射性廃棄物

放射能の強さによって高レベル放射性廃棄物低レベル放射性廃棄物に大別される。高レベルは、再処理で出てくる核分裂生成物を中心とした放射能が非常に高い液体廃棄物。多くの核分裂生成物は半減期が比較的短いので、放射能は早く減衰するが、含まれている超ウラン元素(TRU)には半減期が数万年に及ぶものがある。1000年間ぐらいは確実に封じ込めておかねばならず、ホウケイ酸ガラスで固めて(ガラス固化)、ステンレス製容器に入れる。110万kW級原発から年間約30tの使用済み核燃料が出され、ここから約15立方メートル高レベル放射性廃液を生じる。ガラス固化すると110リットル容器で約30本になる。日本では青森県六ケ所村に日本原燃の一時貯蔵施設があり、ここで30〜50年間保管する。その後の地層処分を実施する組織として、2000年10月に原子力発電環境整備機構が発足した。約25年かけて最終処分地を選び、その後10年ほどで処分を始める。処分後も300年間は管理する予定。低レベル廃棄物の主なものは、原発から出る濃縮廃液をセメントアスファルトで固化し、ドラム缶に収納したもの。多くは地下数m〜数十mの処分が可能だが、放射能レベルが比較的高いものについては別途安全な処分方法が必要となる。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

放射性廃棄物

原発や医療機関などから出る放射性物質を含む廃棄物。原発から出た使用済み燃料を再処理し、まだ使えるウランプルトニウムを回収した後に残る廃液は「高レベル放射性廃棄物」、他は「低レベル」に分類される。「高レベル」の放射能は非常に強く、数万年以上隔離する必要がある。国はガラス原料と一緒に固め、地下深くに埋める方針だが、処分場のめどは立っていない。

(2011-08-06 朝日新聞 朝刊 大特集H)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

ほうしゃせい‐はいきぶつ〔ハウシヤセイ‐〕【放射性廃棄物】

原子力施設や使用済み核燃料再処理工場などで発生する、放射性物質を含む廃棄物。核分裂生成物のほか、放射能に汚染された衣類・器具・水や、閉鎖施設そのものも含まれる。核廃棄物。→高レベル放射性廃棄物低レベル放射性廃棄物

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百科事典マイペディアの解説

放射性廃棄物【ほうしゃせいはいきぶつ】

原子炉の運転,核燃料の精製,人工放射性同位元素の使用等に伴って生じる放射能をもった不用物質。人体に被害を与え環境を汚染する恐れがあるので慎重な処理を必要とする。
→関連項目ARE事件海洋汚染海洋投棄規制条約核融合クリーンエネルギーグリーンピース原子力発電原子炉原発事故廃棄物の処理及び清掃に関する法律バーゼル条約

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうしゃせいはいきぶつ【放射性廃棄物 radioactive waste】

原子炉や再処理施設,あるいは放射性物質(ラジオアイソトープを含む)を取り扱う工場や研究室などから発生する,放射性物質を含んだ種々の廃棄物を総称して放射性廃棄物と呼んでいる。日本の法令では,放射性物質自体および放射性物質で汚染された物であって廃棄しようとする物と定義しており,放射性物質を取り扱うための特別の区域(管理区域)から発生する廃棄物を放射性廃棄物として取り扱う慣例となっている。しかし,自然界に存在する物質は,微量ではあるが天然の放射性物質や核実験による放射性降下物を含んでおり,放射性物質の有無で放射性廃棄物と非放射性廃棄物を区分するならば,すべての廃棄物が放射性廃棄物になりうる。

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大辞林 第三版の解説

ほうしゃせいはいきぶつ【放射性廃棄物】

原子炉・放射性同位体を使用する工場や研究室などで発生する、放射性物質を含む種々の廃棄物。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

放射性廃棄物
ほうしゃせいはいきぶつ
radioactive waste

原子力エネルギーの利用に伴い、核燃料サイクル(核燃料の流れ)のあらゆる部分から発生するさまざまな放射性の不要物をいう。これらを人間あるいは生物環境から安全に隔離する手段・方法の総体を処理・処分とよんでいる。また、管理managementという用語も用いられる。
 海外、たとえば国際原子力機関(IAEA)などで一般に採用されている区分では、放射性廃棄物はその含有する放射性核種の特性と量に注目して、高レベル放射性廃棄物、中レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(超ウランtrans uraniumはウランよりも原子番号の大きい元素の総称。TRU廃棄物ともいう)とに大きく分類される。一方、日本では、発生原因に基づいて分類し、再処理施設から取り出される「高レベル放射性廃棄物」と、その他の原子力施設などから発生する「低レベル放射性廃棄物」の2種類にのみ区分されている。したがって、日本の区分(以下「 」として引用)を用いた場合、「低レベル放射性廃棄物」のなかに放射能レベルの高い、廃炉の炉内構造物なども含まれる。またきわめて長い半減期をもちα(アルファ)線を発生するTRU廃棄物なども含まれる場合があることに注意しなければならない。[舘野 淳]

「高レベル放射性廃棄物」とその処分

原子力発電所から取り出された使用済み燃料は、再処理工場で化学的処理が施され、大きく分けて(1)燃え残りのウラン、(2)プルトニウム、(3)核分裂生成物の濃縮溶液、の三者に分離される。このうちの核分裂生成物の濃縮溶液は処理直後で1016ベクレル毎立方メートルと、放射能レベルがきわめて高い。日本の処分方法では、この濃縮溶液をガラスとともに溶融して、ガラス固化体をつくる。これが「高レベル放射性廃棄物」である。これらガラス固化体は、東海再処理工場(茨城県東海村)で発生したものおよび、海外で委託再処理を行い返還されたものの2種類がある。返還固化体の場合、直径43センチメートル、高さ134センチメートル、肉厚約5ミリメートルのステンレス製のキャニスターとよばれる容器に封入されている。固化ガラスの量は1本当り400キログラム、製造直後の表面の線量は1500シーベルト毎時(20秒以内で100%の致死線量に達する)ときわめて高い。
 フランスからは2007年(平成19)3月までに1310本の固化体が返還済みであり、イギリスからは2010年3月以降、約850本分の返還が開始された。これらは一時的に青森県六ヶ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵され、その後は処分地を決定のうえ地層処分される予定になっている。2014年12月末までの使用済み燃料を全数処理した場合、返還分も含めると合計2万4800本の固化体が発生する。六ヶ所再処理工場は、2015年9月時点では試運転中であるが、今後、もし本格稼動すると、年間800トンの使用済み燃料の再処理により、約1000本の固化体が発生することになる。2011年3月の福島第一原子力発電所事故以前の使用済み燃料の年間発生量は約1500トンであったが、これは、その半分程度である。
 これら「高レベル放射性廃棄物」は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(平成12年法律第117号)に基づいて、以下に述べる地下300メートル以深の地層処分を行うことが決められ、その実施主体として、2000年に原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ):Nuclear Waste Management Organization of Japan)が発足した。
 高レベル放射性廃棄物のなかで、放射能として大きな割合を占めるセシウムやストロンチウムは数十年の半減期で減衰するが、アクチノイドに属するプルトニウム、アメリシウム、キュリウムなど、ウランより重いTRU核種は数万年などという、きわめて長い半減期をもつために、超長期間にわたって、これを閉じ込めなければならない。このため地層処分においては、前記のキャニスターを、さらにオーバーパックとよばれる肉厚20センチメートル近い金属製容器に密封して地中に埋めることになっている。しかしながら、数万年間の安全な保管というのは、工学的範疇(はんちゅう)を超える概念であり、達成される保証はない。とくに断層など激しい地殻変動や、地下水の腐食などによって、オーバーパックが損傷する可能性は十分にありうる。
 NUMOは高レベル放射性廃棄物を地層処分するための敷地提供を全国的に呼びかけたが、これに応じる自治体は現れず、計画はまったく行き詰まっていた。このような事態に対して、2012年に日本学術会議は勧告「高レベル放射性廃棄物の処分について」を発表し、地層処分の枠組みを見直し、改めて高レベル放射性廃棄物に関する合意形成を図ることを呼びかけた。これに対して原子力委員会は、国が前面にたって敷地選定を行うことなどの方針を示したが、処分の具体的な見通しはたっていない。[舘野 淳]

使用済み燃料

原子力発電所から取り出された使用済み燃料は、通常は高レベル放射性廃棄物には分類されないが、アメリカのように再処理を行わず、使用済み燃料のままで地層処分を行う場合(ワンス・スルー方式)は、高レベル放射性廃棄物に相当する。日本でも再処理工場が稼動できなくなったり、全量再処理の方針が実現不能となったりした場合は、高レベル放射性廃棄物として扱われることとなる。
 各原子力発電所の施設内に貯蔵されている、未処理の使用済み燃料は合計約1万4200トン(2011年9月時点)で、各貯蔵施設の平均70%を占める。このほかに青森県六ヶ所村にある再処理工場に、貯蔵プール容量3000トン近い使用済み燃料が貯蔵されている。このように使用済み燃料を貯蔵する余地はきわめて逼迫(ひっぱく)しており、青森県むつ市に使用済み燃料の中間貯蔵施設(リサイクル燃料備蓄センター。東京電力と日本原子力発電が対象で、貯蔵容量は5000トン)が建設されているが、今後原子力発電所が再稼動した場合、使用済み燃料の貯蔵場所の確保がきわめて困難となることは明らかである。どうしても稼動するならば、使用済み燃料は原子力発電所の敷地内に貯蔵施設をつくり保存することとなるだろう。[舘野 淳]

「低レベル放射性廃棄物」

再処理工場から排出される高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)以外はすべて「低レベル放射性廃棄物」である。おもな発生源は、(1)ウランの採鉱製錬、(2)ウラン燃料の製造加工(転換、濃縮を含む)、核燃料再処理、プルトニウム再循環等核燃料サイクル関連施設、(3)原子炉運転、原子力施設の閉鎖解体、(4)ラジオ・アイソトープの利用、である。日本では(1)を除いて、現実に相当量の廃棄物が発生している。
 低レベル放射性廃棄物は、通常は固体または液体をアスファルト、セメントなどで固化したのち200リットルのドラム缶などの容器に封入して保管される。(2)の核燃料サイクル関連施設からは、TRU廃棄物としてドラム缶14.5万本、ウラン廃棄物としてドラム缶10.4万本が発生している。(3)の発電所関連では、制御棒・炉内構造物など高レベルのものからコンクリート等低レベルのものを含めてドラム缶60万本分が発生している(数値はいずれも2009年時点)。
 処分方式には、(1)海洋投棄、(2)陸地保管、(3)浅層地中埋没、(4)地中圧入、(5)深い地層空洞処分、などが考えられ、アメリカ、旧ソ連などでは実施された例がある。海洋投棄については、海洋の汚染防止を目的としたロンドン条約が1975年に発効し、高レベル放射性廃棄物の海洋投棄は禁止されたが、規準以下ならば条約上は投棄してよいことになる。日本は太平洋で2地点を選んで、深度、海流、生物などについての調査を行い、小笠原(おがさわら)諸島付近への試験投棄を計画中であったが、パラオをはじめとする太平洋諸国の反対と、ロンドン条約締約国協議会議の一時停止決議などにより、当面は陸地保管に重点を移すこととなった。
 なお1990年代ころから、日本原子力発電の東海発電所(コールダーホール型原子炉)をはじめとして、各地の老朽化した発電用原子炉の廃炉によって大量に発生する「低レベル放射性廃棄物」(第二種廃棄物。第一種廃棄物は、「高レベル放射性廃棄物」である再処理工場から生じるガラス固化体と、「低レベル放射性廃棄物」のうちTRU廃棄物)の処分の具体的対策の必要に迫られている。これら廃棄物はL1(比較的放射能レベルが高いもの)、L2(比較的放射能レベルが低いもの)、L3(きわめて放射能レベルが低いもの)の3種に区分され、それぞれ余裕深度処分(一般的な地下利用に対して十分に余裕をもった深度への処分)、ピット処分(地下のコンクリート構造物に入れて比較的浅い地中に埋める)、トレンチ処分(地表近くに埋めて盛り土で覆う)を行う埋設処分が施されることになっている。さらにL3レベルより低い放射性廃棄物は、2005年の「原子炉等規制法」(昭和32年法律第166号)の改正に基づき、通常の産業廃棄物として扱うことができるクリアランス制度が導入されている。[舘野 淳]

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世界大百科事典内の放射性廃棄物の言及

【核燃料サイクル】より

…再処理過程の次にはMOX燃料加工過程が付随する。核燃料再処理
[放射性廃棄物管理]
 以上が原子炉を用いる場合のUの一生,核燃料サイクルの概要であるが,他方,この核燃料サイクルの各過程から種々の放射性廃棄物が発生する。放射性廃棄物を安全に管理するという放射性廃棄物管理の立場から特に重要となるのは,採鉱・粗製錬所,原子力発電所,再処理工場から発生する廃棄物である。…

【原子力】より

…他方,原子力発電所では,種々の廃棄物が発生する。放射能を含むものは放射性廃棄物として管理する。放射性廃棄物は,放射性廃棄物処理系へ導かれ,安定な形態で貯蔵するか,放出点での放射能が許容値以下になるように処理してから放出される。…

【原子力発電】より

…(3)立地上の制約が大きい 立地安全基準への適合上,自然条件ならびに社会環境条件の面で立地個所に制約がある。(4)放射性廃棄物が出る 放射性廃棄物を長期間にわたって管理し安全に隔離する必要がある。(5)許認可等の手続きが複雑 このための準備と期間を要する。…

【原子炉】より


[廃棄物処理系]
 原子炉施設からはわずかではあるが核分裂生成物が配管や機器を通して環境中に出てくる。これらは気体状,液体状,あるいは固体状の放射性廃棄物と呼ばれる。気体廃棄物にはクリプトンやキセノンという放射性希ガスのほか,ヨウ素,三重水素(トリチウム)などの気体,あるいはクロム,マンガン,コバルトなどの微粒子が含まれる。…

【廃棄物】より

…液状のものについては処理により汚水,または廃液として扱われる場合がある。廃棄物を分類すると図のようになるが,このうち放射性廃棄物とは,放射性物質およびこれによって汚染された物をいい,その取扱いは,特別法により規制されている。放射性廃棄物以外の廃棄物を一般の廃棄物といい,これが〈廃棄物処理法〉が規定している廃棄物である。…

※「放射性廃棄物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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