翻訳|SIM card
携帯電話の電話番号など契約者情報を記録する小型のICカード。携帯端末は多くの場合、端末本体にSIMカードを差し込むことで利用が可能になる。総務省が他社の通信回線で使えなくする「SIMロック」の解除を義務付けたことを受け、商機が広がると見込まれている。一部の業者は、大手電話会社の通信回線を借りて格安のカードを売り出している。
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GSM(Global System for Mobile Communications)やW-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)などの通信方式の携帯電話や携帯情報端末で使われているICカード。Subscriber Identity Module(加入者識別モジュール)の頭文字をとってSIMカードとよばれる。携帯電話の電話番号や固有識別番号、電話帳などが記録されており、通信会社と契約した有効なSIMカードを端末に挿入することで通信とSMS(ショートメッセージ)の使用が可能になる(データ通信の場合は別途設定が必要な場合がある)。端末ごとに対応する機能、通信周波数、方式などの制限があるため、実際には無制限ではないが、原理的にはSIMカードに対応した端末であれば、SIMカードをユーザーが差し替えることで特別な手続なしに端末を取り替えて使用することが可能である。
SIMカードは対応する端末のスロットのサイズにあわせて標準、Micro(マイクロ)、Nano(ナノ)の3種類が用意されている。また、日本ではNTTドコモがFOMA(フォーマ)カード、KDDI(au)がauICカード、ソフトバンクがUSIMカードなどと独自の名称でよんでいるが、実質的にはほぼ互換性がある。
日本では移動体回線網を自社で保有しうる移動体通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)は、SIMカードのみの販売をほとんど行っていない。海外ではSIMカードのみを販売し、自己の所有する端末に挿入して使用する形態の国や、空港でプリペイドSIMカードが販売され、旅行者などが手持ちの端末で気軽にその国の通信網を利用できる国もある。日本や多くの国々では端末を他事業者のSIMカードで使用できないようにロック(SIMロックとよばれる)をかけている。これは日本の場合、端末の割引や購入補助をするかわりに2年間または3年間の契約を義務づける販売方式が多いことが理由であり、安く購入した端末を他の通信事業者のSIMカードで使用されたり、外国へ持ち出されたりしないようにするための措置である。
ただし、上記のような契約期間を設定した販売方式では実際の端末価格がわかりにくく、契約の解除もしにくいという批判があり、総務省では2015年(平成27)5月から支払いの終了した端末についてはSIMロックを解除し、他の事業者のSIMカードでも使用できるようにすることを回線事業者に義務づけた。
また、MVNOによるSIMカード(格安SIMとよばれる)や、最初からSIMロックのかかっていないSIMフリーとよばれる端末の販売もしだいに数が増えている。
[編集部]
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