靭帯(読み)ジンタイ

デジタル大辞泉 「靭帯」の意味・読み・例文・類語

じん‐たい【×靭帯】

骨格の各部分をつなぎ、関節運動を滑らかにしたり制限したりする、強い弾力性のある線維性の組織
二枚貝類で、2枚の貝殻をつなげる帯状の弾力性のある組織。貝柱に拮抗して貝殻を開く働きをする。

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百科事典マイペディア 「靭帯」の意味・わかりやすい解説

靭帯【じんたい】

(1)脊椎動物の骨と骨とを結合する結合組織繊維の束からできている紐(ひも)状のもの。関節をつくる骨の間では,主としてその運動を制御する制動機としての役目をもつ。指や膝(ひざ)の関節が伸ばした状態でしっかり止まるのは靭帯の働きによる。(2)軟体動物斧足(ふそく)類の左右2枚の貝殻を連絡している帯状の構造物。キチン質からなり,閉殻筋が弛緩(しかん)したとき貝殻を開かせる作用をもつ。
→関連項目外反足脱臼肘内障突き指捻挫

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「靭帯」の意味・わかりやすい解説

靭帯
じんたい

骨と骨を結び付けている結合組織。脊椎(せきつい)動物では、腱(けん)と同様にコラーゲン繊維を密に含んでいる。脊椎骨の靭帯では、さらに弾性タンパク質エラスチンの繊維が含まれている。可動関節では、関節を帯状に囲み、滑液を満たす袋(滑液嚢(のう))の役割も果たしている。無脊椎動物では、棘皮(きょくひ)動物にコラーゲン繊維に富んだ同様の組織があり靭帯とよばれる。このうち、ウニの棘(とげ)と殻の関節の靭帯は、刺激を受けると硬くなる性質をもっており、キャッチ靭帯とよばれる。また軟体動物二枚貝類の2枚の貝殻を結び付けている物質も靭帯(蝶番靭帯(ちょうつがいじんたい))という。これは前述の靭帯とは異なり、貝殻のタンパク質コンキオリンを主成分としている。一般にはハマグリの場合のように蝶番の外側にある繊維性のものをいうが、ホタテガイの場合のように内側にあるものもいう。後者は軟骨様で弾体ともよばれる。蝶番靭帯には弾力があり、閉介筋の力に対抗してこれが弛緩(しかん)したとき貝殻を開かせる働きがある。

[馬場昭次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「靭帯」の意味・わかりやすい解説

靭帯
じんたい
ligament

(1) 脊椎動物において靭帯は関節を形成する骨と骨の相互位置関係を確保する帯状のじょうぶな線維性組織である。靭帯には弾力線維が少い結合組織線維からなる白色靭帯と,弾力線維に富んでいる黄色靭帯がある。 (2) 軟体動物二枚貝類において左右の貝殻を連絡する繊維性あるいは軟骨様の物質で,殻を開くように働く。 (→貝柱 )

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