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肘内障 ちゅうないしょうinternal derangement of the elbow

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肘内障
ちゅうないしょう
internal derangement of the elbow

マルゲーニュ脱臼ともいう。部の外傷による肘関節の機能障害をいい,2~3歳の幼児に多い。幼児の手を急に引張ったときなどに起り,痛いために患肢の肘をやや曲げて動かさず,さわらせることもしなくなる。この年齢では橈骨頭の径が骨幹径とほぼ同じであるため,亜脱臼を生じやすい。容易に徒手整復でき,痛みも機能も回復する。 J.マルゲーニュはフランスの外科医 (1806~65) 。

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デジタル大辞泉の解説

ちゅうない‐しょう〔チウナイシヤウ〕【肘内障】

幼児がを急に強く引っぱられたときに、肘(ひじ)関節靭帯(じんたい)がずれて骨の間に挟まれ、腕を回せなくなる状態。

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百科事典マイペディアの解説

肘内障【ちゅうないしょう】

2〜6歳ころの幼児に起こる肘の障害。手や前腕を強く引っ張ったときに生じることが多い。急に手をだらりと下げたまま動かせなくなり,動かそうとすると痛がる。幼児期には,橈骨(とうこつ)の肘関節近くを覆う輪状靭帯(じんたい)がまだ弱いため,強く引っ張られたときに橈骨頭がずれ,手を離したときにその輪状靭帯が橈骨頭と上腕骨の間にはさみこまれるために起こる。

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家庭医学館の解説

ちゅうないしょう【肘内障 Pulled Elbow, Derangement of Elbow】

[どんな病気か]
 よく肘(ひじ)が抜けたといわれるものが、この病気です。2、3歳の幼児で、急に手を強く引っ張ったときに、突然痛がって泣きだし、腕をだらりと下げて動かさず、まったく手を使おうとしません。
 とくに、腕を上げる動作をいやがり、誰かが手を持ち上げようとすると強く泣きます。
 これは、前腕(ぜんわん)(肘から手首までの部分)の親指側にある橈骨(とうこつ)という骨の骨頭(こっとう)(先端の膨(ふく)らんだ部分)が、それを安定させている肘の輪状靱帯(りんじょうじんたい)からはずれかかって、輪状靱帯が肘の関節内に一部分入り込むためで、ほんとうの脱臼(だっきゅう)ではありません。手をだらりと下げているので、肩が脱臼しているとまちがわれることもあります。
[治療]
 骨折でないことをよく確認してから、整復を行ないます。
 整復をする人が、親指で橈骨の骨頭を前方から押さえ込み、肘関節を90度に曲げると同時に、手のひらが上に向くようにねじる(前腕を回外(かいがい)する)と、コツッという音とともに、肘がもとの状態にもどります。
 整復されると、幼児などは急に手を動かすようになります。
 ただし、肘内障がおこってから時間がたつと、整復しにくくなることが多いものです。
 予防としては、お母さんなどが、子どもの手を急に強く引っ張らないように注意することもたいせつです。

ちゅうないしょう【肘内障 Pulled Elbow, Derangement of Elbow】

[どんな病気か]
 幼児の手を急に引っ張ったり、片方の手をもって宙づりにしたりすると、肘関節(ちゅうかんせつ)近くの橈骨(とうこつ)の骨頭(こっとう)がそれを包んでいる輪状靱帯(りんじょうじんたい)から外れてしまうことがあります。正確には輪状靱帯外橈骨亜脱臼(りんじょうじんたいがいとうこつあだっきゅう)といいます。
 幼児の手を引っ張ったとき、急に泣きだし、腕をだらんと垂らして動かさなくなり、ひどく痛がって触らせないなどのときは、肘内障を疑います。
[治療]
 脱臼した直後なら、比較的簡単に整復できます。すぐ整形外科を受診しましょう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちゅうないしょう【肘内障 pull elbow】

幼児にみられる肘関節の異常。2~4歳くらいの幼い子どもの手や手首を引っ張ったり,ねじったり,急に引き上げたりしたときに起こる。親が子どもの手を引っ張ることによって子どもの転倒を防ぐといったときに起こることが多い。子どもはひじを痛がり,その手を下にさげ,あたかも上肢全体が麻痺したかのようにまったく動かさなくなる。手を動かそうとすると泣いていやがる。親たちは〈手が抜けた〉〈肩が抜けた〉と思い込みがちであるが,これは急激に生ずる外傷性の肘関節機能障害の一種であって,その起り方に特徴があるので,肘内障という名で呼ばれてきた。

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大辞林 第三版の解説

ちゅうないしょう【肘内障】

橈骨とうこつ小頭が環状靭帯じんたいから亜脱臼を起こしたものをいう。幼児の手や手首を急に強く引っ張った時に起こる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肘内障
ちゅうないしょう

(ひじ)の関節内障で、学齢期以前の小児の手または前腕を急に強く引っ張ったとき、橈骨(とうこつ)小頭が環状靭帯(じんたい)から亜脱臼(だっきゅう)をおこしたものをいう。手をつないで歩いているとき、幼児が急につまずいて倒れそうになった場合に、幼児の手や前腕をつかんで支えたときなどにおこりやすい。突然激しく泣き出し、腕をだらりとさせ、前腕を回内位にして動かそうとしない。外見上、腫(は)れたり変形したりしているようなことはないが、他動的に肘関節を屈曲するか、前腕を回外しようとすると激しく泣き出すので、痛みのあることがわかる。
 整形外科医または柔道整復師に整復してもらえばよいが、小児科外来でもしばしばみられる幼児の外傷である。肘関節を軽く屈曲し、片手で前腕を握り、他方の手で上腕をつかむように握って指先を橈骨小頭部に当て、前腕を外旋しながら橈骨小頭を押し、肘関節を屈曲すると整復される。このとき、軋音(あつおん)を手に感ずる。整復後は副木や三角布による固定の必要はなく、ただちに上肢を使うようになるが、再発しやすいので、5日間くらいは手や前腕を強く引っ張らないように注意するほか、一両日冷湿布を行い弾性包帯を使用する程度でよい。
 なお、いわゆる関節内障は膝(しつ)関節や顎(がく)関節にもみられ、骨折や脱臼がX線写真像では認められないのに、関節運動の障害や痛みを訴える状態をいう。一般に、関節を固定する役目をもつ靭帯の損傷や断裂などによっておこるとされている。[永井 隆・山口規容子]

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