自動車関係税(読み)じどうしゃかんけいぜい

改訂新版 世界大百科事典 「自動車関係税」の意味・わかりやすい解説

自動車関係税 (じどうしゃかんけいぜい)

日本における自動車の普及はきわめて目覚ましく,それに対応して道路をはじめ自動車関係の公共財・サービスに対する要求も急速に拡大した。こうした状況をうけて自動車に関連する各種の税すなわち自動車関係税が創設されていった。自動車関係税は,(1)直接的に自動車の取得や保有に対して課される税と,(2)自動車の利用にあたって不可欠な燃料に課される税とに大きく区分できる。(1)としては,国税の自動車重量税,都道府県税の自動車税,自動車取得税,市町村税軽自動車税がある。自動車重量税は道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して1971年に創設され,自動車や軽自動車の重量区分に応じた税額を自動車の使用者が納税義務者として払う税である。自動車税という名称の税が制定されたのは1940年である。納税義務者は4月1日現在における自動車の所有者で,税率車種排気量,用途別に年額いくらという形で定められている。自動車取得税は都道府県および市町村の道路費用にあてるため,68年に都道府県の目的税として創設されたもので,納税義務者は自動車の取得者で,課税標準は自動車の取得価格である。税率は100分の3の一定税率である。ただし,74年4月1日から98年3月31日の間に行われる自家用の自動車の所得については,軽自動車を除き5%の税率とされている。軽自動車税は1958年の地方税法改正により創設され,原動機付自転車,軽自動車,小型特殊自動車および二輪の小型自動車の所有者に対して車種,排気量,用途別に年額いくらという税率で課税される。(2)の燃料に対する税では,国税の揮発油税は,航空機用の揮発油には別の税が課されているから,自動車関係税とみなしてよい。地方道路税は揮発油税とあわせて課税されることになっているが,地方道路財源の充実を図るために揮発油に対して課税されるものである。石油ガス税は自動車用の石油ガス容器に充てんされている石油ガスであり,やはり自動車関係税である。

 自動車関係税のなかには,道路の整備という支出のための目的税であるものが多い。一般道路の場合には有料道路のように直接料金を徴収することができないから,自動車関係税は,道路という公共財から得る便益に対応した利益課税の例とみなすことができる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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