日本大百科全書(ニッポニカ) 「まん延防止等重点措置」の意味・わかりやすい解説
まん延防止等重点措置
まんえんぼうしとうじゅうてんそち
新型インフルエンザ等対策特別措置法において定められた措置。2019年に中国で初めて確認され、その後世界中に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)対策の推進を図るため、2021年(令和3)2月に創設された。
目的は、新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等感染症のまん延防止対策として、緊急事態宣言を発出せざるをえない状況に陥るのを防ぐことである。それゆえ、措置のタイミングとしては、緊急事態宣言の前段階または緊急事態宣言の解除後でもそのおそれが継続している段階である。
まん延防止等重点措置は、政府対策本部長が期間および区域(原則として都道府県単位)等を定めて公示し、都道府県知事の判断により実施される。措置の内容としては、飲食店などの営業時間変更の要請、要請に応じない場合の命令、命令に違反した場合の過料が規定されている。ただし緊急事態宣言と異なり、事業者への休業要請はできない。対象地域は、知事が指定する市区町村や一部地域である。期間は最長で6か月とされているが、さらに6か月以内の延長が可能となっている。
営業時間の変更のほかに可能となる措置は法令で示されており、たとえば、従業員に対する検査を受けることの勧奨、入場者の感染防止のための整理および誘導、発熱その他の症状のある者の入場の禁止、入場者に対するマスクの着用およびその他の感染防止に関する措置の周知、正当な理由なくマスクの着用等の感染防止措置を講じない者の入場の禁止、などがある。
[和田耕治 2021年10月20日]