アムラ城(読み)アムラジョウ

デジタル大辞泉 「アムラ城」の意味・読み・例文・類語

アムラ‐じょう〔‐ジヤウ〕【アムラ城】

Qasr Amraヨルダン中部にある城館跡。首都アンマンの東約80キロメートルに位置する。8世紀、ウマイヤ朝時代に建造。征服地の警護のために築かれたとされるが、厳格なイスラム教徒の目を逃れ、王族らが酒宴入浴を楽しむための離宮として利用された。館内には裸婦、動物、天体図などを描いたフレスコが残っている。1985年に世界遺産(文化遺産)に登録された。カスルアムラクサイルアムラ

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世界遺産詳解 「アムラ城」の解説

アムラじょう【アムラ城】

1985年に登録された世界遺産(文化遺産)で、ヨルダンの首都アンマンの東約150kmに位置する。外観はドーム型の屋根になっていて、内部は温水浴室、冷水浴室、熱浴室(サウナ)からなるローマ式で、深さ25mの井戸も残っている。8世紀初頭にウマイヤ朝(661~750年)のカリフムハンマドの後継者の意で、全イスラムの最高指導者)が、離宮として建設したといわれている。公には、征服した土地を管理警戒するために建てられたとされているが、実際には、厳格なイスラム教徒の目をそらし、カリフたちが享楽的な生活を送るための離宮だったと考えられている。建物内には、裸体踊り子砂漠での狩猟場面、十二宮の天体図などのフレスコ技法で描かれた壁画が残っている。特に「謁見の間」にはビザンツ皇帝など、各国の皇帝の姿が描かれている。このような古代遺跡の魅力が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はQuseir Amra

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百科事典マイペディア 「アムラ城」の意味・わかりやすい解説

アムラ城【アムラじょう】

ヨルダンの首都アンマンの東約85kmの砂漠に建つ城。8世紀初めに造られたウマイヤ朝の離宮で,カリフ居城および要塞として代々使用された。保存状態が非常によく,大部分当時の姿をとどめている。特徴的なのは3つのホール浴場ハンマーム,蒸し風呂)で,壁や天井一面に色彩豊かな装飾画が描かれている。壁画に女性やペルシアやビザンティンの皇帝などの人物や動物が描かれているのは注目される。1985年,世界文化遺産に登録。

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