インド音楽の拍節法。北インドではタールtāl。原義は〈掌〉〈拍手〉で,〈手拍子〉ということであろう。拍の一単位であるマートラーmātrā(北インド)またはアクシャラカーラaksharakāla(南インド)の数によってターラは構成され,さらに3種のテンポ(北インドではラヤlaya,南インドではカーラkālaという)に従って演奏される。現代の芸術音楽では,南インドでは35種のターラが決められており,北インドでは十数種のターラが用いられる。今日北インドで最もよく用いられる,16マートラーからなるタールを〈ティーン・タールteen tāl〉という。〈ティーン・タール〉は16マートラーを4拍ずつ四つにくぎり,その一つ目,二つ目,四つ目のくぎりをターリーtālīといい,三つ目はカーリーkhālīという。ターラの第1拍目をサムsamといいこれを回帰点として,サムからサムまでの一巡を1アーバルタāvarta(循環)と呼ぶ。カーリーは零の意味で1拍目に強勢をおかない。ターリーのところではタブラとバヤを強く打ち,カーリーのところでは,響かないように打つ。
執筆者:島田 外志夫
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インド音楽の拍節法に関する理論。旋法理論ラーガとともにインド芸術音楽の二大柱となっている。ターラとは「手を打つ」の意で、北インドではタールという。
南インドでは、拍数を(1拍)、○(2拍)、|(3、4、5、7、9拍のいずれか)の3記号で表し、これらの記号を組み合わせて7種の主要ターラをつくる。|に5種の拍数が入るので、計35のターラに整理される。もっとも一般的なアーディ・ターラは|○○=4+2+2計8拍を1周期とする。どのターラも周期の第1拍目(サム)に最強拍、各区分の1拍目(前例では5、7拍目)に強拍が置かれる。速度は、曲中一定に保たれるが、1周期のリズムを半周期や4分の1周期に凝縮させるカーラという技法がある。
北インドでは、より実践的で南ほど体系化されていない。よく用いられるティーン・タールは4+4+4+4計16拍を1周期とする。周期の第1拍目に最強拍、5、13拍目に強拍、9拍目にアクセントのない空拍が置かれる。強拍と空拍はタールによって規定されている。曲の速度は、ゆっくりからしだいに速くなり、最終的には最初の4~8倍ぐらいになる。
南北インドとも独特の数え方でターラをたたき、曲はサムで始まり、サムで終わる。ムリダンガやタブラなどの太鼓類がターラをもっともよく表現するといわれる。
[柴田典子]
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…その特徴は,和声的・多声的展開をもたない単旋律的音楽であることから,ドローンと呼ばれる持続基音が常に鳴らされることであり,旋律はラーガrāga(旋律型)と呼ばれる,楽曲ごとに固有な,厳格な規則に基づいた典型的な形式を守りながら即興で演奏される。リズム面の発達は著しく,ターラtālaと呼ばれる拍子は,やはり規則的な枠組みのなかで多様に変化する。芸術音楽はラサrasa(詩的情趣)の表現を目的とするといわれている。…
…古典サンスクリット文学の最後を飾る作品であると同時に,ベンガル地方に流行したビシュヌ派文学の先駆といわれている。この詩には各章ごとに音楽用語のターラtāla(拍子)とラーガrāga(旋律)の名が明示され,作者の音楽的知識をうかがわせるものがある。【田中 於菟弥】。…
…その特徴は,和声的・多声的展開をもたない単旋律的音楽であることから,ドローンと呼ばれる持続基音が常に鳴らされることであり,旋律はラーガrāga(旋律型)と呼ばれる,楽曲ごとに固有な,厳格な規則に基づいた典型的な形式を守りながら即興で演奏される。リズム面の発達は著しく,ターラtālaと呼ばれる拍子は,やはり規則的な枠組みのなかで多様に変化する。芸術音楽はラサrasa(詩的情趣)の表現を目的とするといわれている。…
…古典サンスクリット文学の最後を飾る作品であると同時に,ベンガル地方に流行したビシュヌ派文学の先駆といわれている。この詩には各章ごとに音楽用語のターラtāla(拍子)とラーガrāga(旋律)の名が明示され,作者の音楽的知識をうかがわせるものがある。【田中 於菟弥】。…
※「ターラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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