ハナミズキ(読み)はなみずき(英語表記)flowering dogwood

共同通信ニュース用語解説 「ハナミズキ」の解説

ハナミズキ

ミズキ科ミズキ属。別名アメリカヤマボウシ。北アメリカ東部原産で英語名ドッグ・ウッドバージニア州の花。米国での花言葉は「返礼」「忍耐」「永遠」など。高さ4~10メートルになり、4月下旬~5月中旬に開花花弁のように見えるのは総苞そうほうと呼ばれる器官。紅葉、初冬の赤い実など四季の変化が楽しめる。花水木とも表記する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナミズキ」の意味・わかりやすい解説

ハナミズキ
はなみずき / 花水木
flowering dogwood
[学] Cornus florida L.

ミズキ科(APG分類:ミズキ科)の落葉高木。北アメリカ原産で、花が同属のヤマボウシに似るので、アメリカヤマボウシともいう。アメリカヤマボウシとハナミズキの名を混ぜ合わせてアメリカハナミズキという場合があるが、アメリカの名を冠する呼称は適切ではない。高さ5~12メートル。樹皮は灰黒色で縦に溝があり、小枝は緑白色または紫褐色である。葉は短い柄があって対生し、楕円(だえん)形または卵形で長さ8~15センチメートル、先は短くとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)はない。葉裏は白色を帯び、脈上に微毛がある。秋、美しく紅葉する。4~5月、小枝の先に頭状花序をつくり、黄緑色で小さな4弁花を集めて開く。花序の基部に白色で花弁状の大きな総包片が4枚あり、倒卵形で長さ4~5センチメートル、先はへこむ。核果は枝先に数個つき、楕円形で長さ約1.2センチメートル、先端に宿存萼(がく)があり、10月ころ深紅色に熟す。ヤマボウシのような集合果にはならない。前年の秋には、擬宝珠(ぎぼし)状のつぼみが枝に頂生する。

 カナダのオンタリオ州、アメリカのマサチューセッツ州からフロリダ州、テキサス州と、メキシコの一部に分布する。アメリカではドッグウッドと称し、バージニア州の州花になっている。日本への導入は、1912年(明治45)、当時の東京市長尾崎行雄(ゆきお)がサクラ苗木をワシントン市に寄贈した返礼として、1915年(大正4)に贈られたのが初めである。現在も、東京の都立園芸高等学校に原木が残っている。園芸品種に、総包片が淡紅色から濃紅色までの変異があるベニバナハナミズキ、果実が黄熟するキミノハナミズキ、総包片が6~8枚あるヤエハナミズキ、葉に淡黄色の斑(ふ)が入るキフハナミズキなどがある。庭園、公園に植栽される。

小林義雄 2021年3月22日]

栽培

半日陰地でも育つが、日当りのよい、適湿の肥沃(ひよく)地でよく育つ。繁殖は主として接木(つぎき)により、台木はハナミズキまたはヤマボウシの実生(みしょう)苗を用いる。実生は秋に果肉を除いてから、取播(ま)きをする。挿木は発根がよくない。カイガラムシ類や、幹に被害を与えるコウモリガなどの害虫は、発生の初期に防除しないと大きな被害を受ける。

[小林義雄 2021年3月22日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナミズキ」の意味・わかりやすい解説

ハナミズキ(花水木)
ハナミズキ
Cornus florida; flowering dogwood

ミズキ科の落葉小高木で,アメリカヤマボウシともいう。北アメリカ東部原産。明治になって日本に輸入された。特に東京市から贈られたサクラ (ソメイヨシノ) の答礼としてアメリカから日比谷公園に贈られたものが有名である。今日では各地の公園などに普通にみられる。高さ3~6mとなり,長さ 10cmあまりの広卵形の葉を対生する。葉の裏面は白く,ほぼ平行に走る数本の葉脈が目立つ。春に,枝端に径数 cmの大型の「花」をつける。花弁にみえる4枚の包葉は赤,ピンク,白などがあり,この包葉に載ったように小さな緑色の花が球状に固まってつく。秋の紅葉も美しい。

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デジタル大辞泉プラス 「ハナミズキ」の解説

ハナミズキ

①日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、一青窈(ひととよう)。2004年発売。作詞:一青窈、作曲:マシコタツロウ。2005年、日本中央競馬会のCMに起用。
②2010年公開の日本映画。①をモチーフとしている。監督:土井裕泰、脚本:吉田紀子。出演:新垣結衣、生田斗真、蓮佛美沙子、ARATA、木村祐一、松重豊、向井理、薬師丸ひろ子ほか。第84回キネマ旬報ベストテン新人男優賞(生田斗真)受賞。

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百科事典マイペディア 「ハナミズキ」の意味・わかりやすい解説

ハナミズキ

アメリカヤマボウシとも。北米原産のミズキ科の落葉小高木。大正初年に渡来。葉は対生し,広楕円形。5〜6月,葉に先だって4枚の大きな総包片の中心部に黄色を帯びた小さな4弁花を密につける。総包片は花弁状で白,淡紅,紅色など。果実は10月赤熟。花,実,紅葉といずれも美しく,街路樹や庭木として各地で栽植される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ハナミズキ」の意味・わかりやすい解説

ハナミズキ

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世界大百科事典(旧版)内のハナミズキの言及

【ヤマボウシ】より

…梅雨のころ,4枚の花弁状で白色大型の総苞片をもつ花を樹冠全体に咲かせる。庭園樹としてなじみの深いハナミズキとはごく近縁である。樹皮は赤褐色で鱗状に剝離する。…

※「ハナミズキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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