一富士二鷹三茄子(読み)イチフジニタカサンナスビ

デジタル大辞泉 「一富士二鷹三茄子」の意味・読み・例文・類語

いち富士ふじたかさん茄子なすび

初夢に見るものの中で、縁起のよいとされているものを順に挙げた句。
[補説]一に富士山、二に愛鷹あしたか、三に初茄子値段と、駿河国で高いものを並べた句ともいわれる。

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精選版 日本国語大辞典 「一富士二鷹三茄子」の意味・読み・例文・類語

いちふじ【一富士】 二鷹(にたか)三茄子(さんなすび)

  1. 夢に見ると縁起が良いとされているものを順にならべた文句。初夢についていわれることが多い。
    1. [初出の実例]「初夢 まさに見し一富士二鷹三茄子夢ちがへして貘にくはすな」(出典:狂歌・巴人集(1784))

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ことわざを知る辞典 「一富士二鷹三茄子」の解説

一富士二鷹三茄子

夢に見ると縁起がよいものを順に三つならべたもの。特に初夢についていう。

[使用例] なぜ二日の夢が初夢なのかわからない〈略〉夢となると元日の夜、あしたが初夢だから見ずに置こうというわけにはいかない。その夢も一富士、二鷹、三茄子、この順でこれを吉夢といい伝える。富士も鷹も吉とするのは解るが、茄子はどういうところから来ているのか知らない[鏑木清方宝船|1942]

[使用例] 一富士 二鷹 三茄子〈略〉初夢で富士山を見るのが一番よくて、二番目が鷹の夢で、三番目が茄子の夢だってことは、よくいっている。〈略〉四葬式 というのがあるという。葬式というのは縁起の悪いもののように思うので、並べるのはどうかと思うが、しかしまた夢というのは逆夢だともいうから「葬式」もいいのかもしれない[池田弥三郎*暮らしの中のことわざ|1977]

[解説] よく知られた表現で、語源については次のような諸説があります。(一)駿する名物を順に挙げたもの、(二)駿河の国で高いものを順に挙げたもので、一に富士、二に足高山、三に初茄子の値段のこと、(三)富士は高大、鷹はつかみ取る、茄子は成すの意で、縁起のよい物を順に挙げた、など、駿河にかかわるものが目につきます。しかし、江戸前期の用例をみると、最初から三つではなく、「一富士二鷹」までのものや「三」の内容が確定していない例も認められます。その後、意外性があってユーモラスな「三茄子」が加わって表現が確立され、今日まで伝承されることになったものと思われます。
 「一…二…三…」の形式は、他にも「一金二押し三男」などがあり、レトリックとして「三」に意外性やひねりを加えることで、印象に残ることわざとなったものが多いようです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一富士二鷹三茄子」の意味・わかりやすい解説

一富士二鷹三茄子
いちふじにたかさんなすび

諺(ことわざ)。夢にみるもののなかで縁起のよいものの順位。とくに正月2日の初夢の縁起に用いられる。語源については、この諺が一般に流布した江戸時代中期にすでに諸説ある。(1)駿河(するが)国(静岡県中央部)の諺で、駿河の名物を順にあげたとする説がもっとも有力である。江戸時代の国語辞書俚言集覧(りげんしゅうらん)』によれば、駿河の名物を「一富士二鷹三茄子四扇五煙草(たばこ)六座頭」とする。(2)徳川家康があげた駿河の国の高いものの順位、すなわち一に富士、二に愛鷹(あしたか)山(足高山)、三に初茄子の値段といったことに由来するとする説。(3)富士は高く大きく、鷹はつかみ取る、茄子は「成す」に通じて縁起のよい物とする説、などがある。

[棚橋正博]

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とっさの日本語便利帳 「一富士二鷹三茄子」の解説

一富士二鷹三茄子

初夢で見ると縁起のいいものの順。▽富士山/鷹/ナスビ

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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