ある個体に,親はもっていないがそれ以前の祖先がもっていた形質が現れることを先祖返りという。とくに一度退化した器官や習性が偶然に,あるいは交雑の結果突然現れることは神秘的な現象と考えられていた。ヒトの尾,副乳,馬の過剰指などがよくひかれる例である。また育種家は野生の祖先種のみがもっている形質が,系統間の交雑の結果突然現れることをしばしば経験している。先祖返りは,ある一つの形質に関してAABBという遺伝子型をもつ祖先種から,祖先種とは違った表現型を示すaaBBとAAbbという系統が生じ,この両系統が交雑してAaBbとなると祖先種のもっている形質が発現するという補足遺伝子(一つの形質を支配する複数の遺伝子)によって説明されたり,復帰突然変異によって説明される場合もあるが,非遺伝的な奇形が偶然に祖先の形質に符合する場合も考えられる。隔世遺伝という言葉が親とは似ず祖父,祖母またはそれ以前の祖先に似ることに対して用いられることもあるが,先祖返りと同義語でもある。
執筆者:大西 近江
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atavism
先祖に存在した形態が進化の過程で退化消失して現在では一般にみられないものが,偶然的に子孫のある個体に再現する現象。帰先遺伝,復化現象とも。ヒトの例では尻尾・多毛・副乳など。遺伝学的には形質の分離,遺伝子の組換え,不完全表現などで説明される。この現象は遺伝子のレリックの一種とみられ,ふつうには発現しないがなんらかの条件で発現したもの。実験的に発現させた例もある。
執筆者:小寺 春人
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〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...