大谷吉継(読み)おおたによしつぐ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大谷吉継」の意味・わかりやすい解説

大谷吉継
おおたによしつぐ
(?―1600)

安土(あづち)桃山時代の武将。刑部少輔(ぎょうぶしょうゆう)。母は北政所(きたのまんどころ)の侍女。紀之介(きのすけ)といった早いころから豊臣(とよとみ)秀吉に近侍。賤ヶ岳(しずがたけ)合戦では七本鎗(やり)に匹敵する手柄をたてた。秀吉の信任厚く奉行(ぶぎょう)にもなり、1589年(天正17)に越前(えちぜん)(福井県)敦賀(つるが)5万石をあてがわれた。文禄(ぶんろく)・慶長(けいちょう)の役では石田三成(みつなり)らと軍監を務めた。関ヶ原戦いでは、徳川家康の会津(あいづ)攻めに従うつもりで、敦賀から美濃(みの)(岐阜県)の垂井(たるい)まできたが、親友の石田三成に懇請され、敗戦覚悟で西軍に加わった。終始よく戦ったが、寝返りをした小早川秀秋(こばやかわひであき)の大兵に側背から攻撃を受け、奮戦のすえ陣没した。ハンセン病で目が見えず、駕籠(かご)に乗って戦闘を指揮したと伝える。

岡本良一

『二木謙一著『関ヶ原合戦』(中公新書)』

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改訂新版 世界大百科事典 「大谷吉継」の意味・わかりやすい解説

大谷吉継 (おおたによしつぐ)
生没年:1559-1600(永禄2-慶長5)

安土桃山時代の武将。はじめ紀之介と称する。豊臣秀吉に近侍し,賤ヶ岳,九州,小田原の戦に参加して軍功をあげ,陸奥地方の検地奉行,文禄の役での軍事監督等,軍事・行政両面において豊臣政権の中枢として活躍した。1585年(天正13)従五位下刑部少輔に叙任。89年越前敦賀5万石を領した。関ヶ原の戦では西軍に属し,東軍に内応した小早川秀秋に背後をつかれ戦死した。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大谷吉継」の解説

大谷吉継
おおたによしつぐ

1559~1600.9.15

織豊期の武将。父は大友宗麟(そうりん)の臣大谷盛治といわれる。紀之介。刑部少輔。豊臣秀吉に近侍し,1583年(天正11)賤ケ岳(しずがたけ)の戦に加わり,87年九州攻めで兵站を調え,89年越前国敦賀5万石を得た。小田原攻め,奥州平定に従い,出羽検地を担当した。92年(文禄元)の朝鮮出兵には名護屋(なごや)船奉行,ついで三奉行として漢城(現,ソウル)に入り,翌年晋州攻撃ののち帰国。1600年(慶長5)西軍に与し,関ケ原で戦死した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大谷吉継」の解説

大谷吉継 おおたに-よしつぐ

1559-1600 織豊時代の武将。
永禄(えいろく)2年生まれ。豊臣秀吉につかえ,天正(てんしょう)17年越前(えちぜん)(福井県)敦賀(つるが)城主(5万石)となる。朝鮮出兵の文禄(ぶんろく)の役では,石田三成らと船奉行,督戦奉行をつとめ,のち明(みん)(中国)との交渉にあたる。関ケ原の戦いでは西軍に属し,慶長5年9月15日敗れて自刃(じじん)。42歳。通称は刑部(ぎょうぶ),紀之介。名は別に吉隆。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大谷吉継」の意味・わかりやすい解説

大谷吉継
おおたによしつぐ

[生]永禄2(1559)
[没]慶長5(1600).9.15. 関ヶ原
安土桃山時代の大名。刑部少輔。初め紀之介と称した。豊臣秀吉の小姓として信任を得,奉行となって,越前敦賀で5万石を領した。朝鮮の役に石田三成らとともに参加。秀吉没後,慶長5 (1600) 年関ヶ原の戦いで,西軍石田方として戦死。

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世界大百科事典(旧版)内の大谷吉継の言及

【出羽国】より

…この一揆は庄内と仙北郡に起こった。庄内の検地は大谷吉継と上杉景勝によって行われたが,検地に反対する一揆勢は一時庄内の諸城を占領し,尾浦城も包囲される勢いであった。一揆の中核は武藤氏に仕えた地侍であったが,やがて上杉方に鎮圧されて庄内の武藤氏は滅び,庄内は上杉氏の所領となった。…

※「大谷吉継」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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